33-いざ、学園
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「それじゃ、行ってくる」
朝食を軽く済ませて、学園服に身を包み、支度を終える。今日から学園生だ。
「行ってらっしゃいませ」
タチャーナに見送られながら、家をあとにする。
俺の家から学園はかなり近く、ものの数分で荘厳な学園の門に辿りつく。
門をくぐり抜け、一先ず自身のクラスを目指す。今日は入学式なので、始まるまでクラスで待機だ。
それにしても、ゲームで散々眺めた風景がこうして現実で見れるとは考え深いものである。
「まさか、ジョブ無しのエズワルドがこの学園に居るとはな。どうやって侵入したんだ?」
クラスを目指して歩いていると、一人の少年に絡まれる。
この少年の事はよく知っている。まず、ゲームでの知識として知っているし、何よりこっちに転生してから幼少期に何度か出会っている。
こいつの名前は、ボニフォーツ・ズ・シュテルツィヒ。こいつはシュテルツィヒ侯爵家の次男であり、ゲームに登場するいわゆる悪役で、事あるごとに主人公に絡んでくる奴だ。
そして、俺にとっても馴染みがあるやつで、親同士の付き合いがあり、こいつと何度か会っている。
ま、腐れ縁の幼馴染みたいなもので、こいつは俺がジョブを持ってないのを知っている人間の一人だ。
それが厄介な事で、こいつはその度にジョブがないことで絡んでくる。
なので、あんまりいい印象は持ってない。
もしかしたら、ゲームで俺が学園にいなかったのはこれも関係してるのかもしれない。
ま、描写されてないから予測でしかないが。
さて、それよりもこいつをどうやって交わそうか。
よし!決めた。無視してそのままクラスに行こう。
「おいッ!何無視してんだエズワルドッ!てめぇ俺は侯爵家の次男だぞ!」
何やらボニフォーツが喚いてるが、完全に無視して足早にクラスを目指す。
どうせこいつゲームの流れで継承権剥奪されて、侯爵家から追放されるし、関わるだけ無駄だ。
そうして、俺はその場を離れてクラスへとたどり着いた。さてと、俺の席はどこかな。
「お、ここか。隣、失礼するよ」
「あ、はい。どうぞ」
自身の席を見つけて向かうと隣の席には女の子がすでに座っていた。
一言断って隣に座るが、その時にこの子がゲームの中の登場キャラで前世の俺の推しな事に気づく。
彼女はフィーネ・ズ・デューシキャ。
ゲームでは、特にこれといった役割もなく、俺と同じモブキャラである。
だが、俺と違うのは、学園で登場しているので、度々ストーリーに現れる事だ。
黒髪の半眼で、おさげのモブ顔だけど妙に可愛いのである。そして何より胸がデカい。
これはぜひともお近づきにならねばッ!
「俺はエズワルド・ズ・リグニッキャ。リグニッキャ伯の四男だ。これからよろしく」
「あ、はい。ご丁寧にありがとうございます。私はフィーネ・ズ・デューシキャです。家は男爵で、三女なので貴族の端くれに過ぎませんが、よろしくお願いします」
「そんなに畏まらなくていいよ。俺も家は伯爵だけど四男だし。気軽にエズって呼んでよ」
「あ、はい。わかりました。私もフィーネで大丈夫ですので、よろしくお願いします。エズワルドさん」
う〜ん。エズとは呼んでくれないか。仕方ない。学園での時間はこれから一杯あるのだ。少しずつ仲良くなって攻略していこう。




