31-王都
「いよいよ、来週ですね」
父から入学の許可を貰って、王都にある学園に行ける算段がついてから月日が経った。
入学までは残り一週間ともうすぐそこだ。
「ああ、そうだな」
あれから月日が経った事で、俺の歳は13となっていた。
つまり、主人公が学園に入学して、ゲーム本編が始まるまで来たということである。
「この街ともしばらくお別れですね」
リグニッキャから王都までは、馬車で5日にかかるので、学園には王都から通う事になる。
なので、リグニッキャの街からしばらく離れる。
王都では、リグニッキャ伯の使用してない別邸に住むことになった。父が気を利かせて、用意したみたいだ。
学園にはそこから通う。
「そうだな。ま、みんな一緒に行くから、寂しさはないけど」
王都の屋敷にはこの別邸にいる全員で行くことになっている。つまり、住んでる所が変わるだけで今までと一緒だ。
「準備できたのだ!」
「リュボフも準備出来たみたいですし、そろそろ行きましょうか?」
「ねぇ、ちょっと。本当にあたしも連れてくの?」
「タチャーナが連れてくって言ってるからな」
ポヴァジェニの一件で捕まえた、盗賊の少女のスサンナも連れて行く。
みんなの準備が出来たところで、フェルナンが『にゃ〜』と鳴いて馬車に乗り込む。
馬は前にズノイモに行け時に借りたグミュントを、父から貰い受けた。
何故か学園の入学を許可された以来、父は妙に気を利かせてくる。その真意は分からないが、貰えるものはありがたく貰っておこう。
「みんな乗ったな?それじゃ行くか」
こうして長年住んだ家を離れて、王都へと向かった。
「凄いのだ!凄いのだ!」
王都への道程は安全で、予定通りに王都に着いた。
王都へ着いてからというもの、リュボフはご覧の通り興奮しっぱなしである。
それもそのはず。王都はこの国の中心地であり、街の規模はリグニッキャと比較にならず、人通りも物凄く多い。
かくいう俺もゲームで眺めていた風景が、こうして現実で見られて中々に興奮している。
何よりも、ゲームでは描写されてなかったところまでしっかり、描写されているのが実に素晴らしい!
「さて、着きましたよ。今日からここがエズ様の家です」
と王都見物にうつつを抜かしてるうちに、王都での生活拠点になる家に着いた。
これから生活する事になる家は、王都の一等地にあり、中々豪勢な佇まいである。
家に着いてからは、みんなで手分けして、引っ越し作業にかかる。
家が思った以上に広いので、慣れるまでは少し大変そうだ。
――ムニュッ
そんな事を考えながら作業をしていると、廊下の角で誰かとぶつかり倒れ込む。
ん?この手に吸い付く揉みごたえ……。一度揉んだことのあるような?
「な、な、な、な!またあなたですのッ!早くその手をどけなさいッ!」
ああ、これはスサンナのか。スサンナもすっかり成長して色々と大きくなった。
とそんな事もありながら、無事に引っ越し作業も終わり、日が落ちたので夕飯の席に着く。
「一先ず、今日はお疲れ様。明日から俺は学園に通うけど、今日は引っ越し祝いということで乾杯!」
こうして王都での一日目は終わった。




