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「エズがそう言うんなら、俺はついてくけど……」
「あ、ルシュキーにはリュボフとエスニェフの二人とここに残ってもらう。敵陣には俺一人で行くよ」
「エズ、考え直せ?確実に要塞内で戦う方がいいぜ。いくら何でも敵陣のど真ん中に一人で向かうのは危険過ぎる」
「ま、そう心配するな。これも考えての事だ。敵陣に一人で行ったほうが見つかるリスクが低い。それに経験の浅いエスニェフを連れてく行くわけにも、一人にするわけにも行かないからな。これが最善と言うわけだ」
「すみません……。足手まといになってしまって」
エスニェフが申し訳なさそうに呟く。
「謝らなくていいよ。エスニェフは十分頑張ってくれてるよ。ただ、今回はちょっとイレギュラーが起きただけさ。ここでルシュキー達と軍の支援をしていてくれ」
「そうだぜ?エスニェフ。このエズの頭がおかしいだけだから、謝る必要なんてないぞ。な?リュボフ」
「ん?ご主人はいつもこうなのだ」
「あれ?俺の味方っていないの?ま、いいや。それじゃ行ってくる。あとは任せた」
「はぁ。任された。無理だと思ったらすぐに引き返せよ?生きて帰って来いよ?」
「わあってるって」




