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「て、敵の数はおおよそ1万と思われますッ!」
軍の斥候がもたらした情報で激震が走る。
「お、おい!」
ルシュキーが慌てた感じで俺の肩を掴み揺らす。
「1万!1万ってどうするんだ!エズ!」
1万。この世界においてはかなりの大軍である。
「要塞近辺にいる各人員に伝える!軍は要塞を盾に帝国と交戦を行う!各人員については、要塞内で戦闘に備えよ!」
軍団長が報告を受けて声を張り上げる。ここまでは、ゲームと一緒の流れだ。
今回の帝国の襲撃だが、1万の軍勢が一気に来るわけではなく、ウェーブ形式で次々と襲って来る。
それはまるでタワーディフェンスゲームの様であるが、実はこの襲撃をまるっきり無視して、指揮官である辺境伯を殺害、説得、捕縛のどれかが出来ればクリア可能だ。
「ど、どうしましょう、エズさん!こんな、こんな大軍!」
「ま、案ずるな二人とも。俺に策がある」
「どうするのだ?ご主人」
「ま、一先ずは要塞に向かうか。リュボフにも頑張ってもらうぞ?」
「ボク、頑張るのだ!」




