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「え、エズさん。一ついいですか?」
「なんだ?」
「本当に襲撃に備える必要があるんでしょうか?」
エスニェフが冷静な表示で疑問を口にする。
「おいおい、エスニェフ。帝国が来てるんだからそれはそうだろ?」
「それは、そうですが。ルシュキーさん、一度冷静になって考えて見てください?帝国が襲撃して来てると言っても、その規模はまだ分かりません。今はまだ冒険者のパーティーが襲われたという情報だけです」
「うん?まあ、確かにそうだな」
「つまり、相手は極少数という可能性もあります。それに対してこちらは突貫工事ながらも要塞もあって、大規模な軍隊も居ます。果たしてこの状態で襲って来るでしょうか?」
「確かに……エスニェフの言う通りではあるが、でも実際に帝国は王国に喧嘩を売ったわけだし。な、エズ?」
エスニェフの言い分も分かる。
ここに籠もってれば、大した被害もなく乗り切れるだろう。
そう、普通はそう思う普通はな。




