27-再会
「抵抗したら容赦なく殺すっすからね?」
捕まえた盗賊の女の武器を奪い、近くにあった縄で抵抗できないよう拘束する。
顔を隠していた布を剥ぐと、意外と若い事に気づいた。
年の頃は俺よりも3、4つ上くらいだろうか?現代日本で言えば中学生くらいだろう。
容姿も目鼻立ちが整っていて可愛らしい見た目をしている。盗賊をしているのが不思議だ。
「さて、正直に答えるっすよ?お前らがリグニッキャに侵入した理由はなんすか?」
「あたしは知らないわよ。そんなの」
「そうすか……なら、殺すしかないすね」
「ちょ、ちょっと待ってよ!待ちなさいよ!何で殺されなくちゃならないわけ!」
「そりゃ情報がないなら生かしとく価値がないからっす」
自問の主導権を握ったティボーは、自らが望む情報が取れないと分かると、剣に手をかけ本当にそのまま殺そうとする。
そんなティボーを俺は慌てて静止する。
何でこいつはこんなに極端なんだ!?俺はまだこいつからリュボフの居場所とか聞かなきゃいけないの理解してんか?
「待て待て待て!ティボー!」
咄嗟に自分の剣でティボーの攻撃を防ぐ。
こいつッ!マジで殺そうとする奴があるか!
「何で止めるんすか?」
「まだ、俺はこいつに聞くことがあるんだよ!!!」
「そうすか」
ティボーはそれだけ言い残すと、興味を失ったのか女を置いてその場を離れた。
「ちょっと!あんた何なのよあの狂人ッ!」
「黙ってろ」
ピーチク喚く盗賊が煩いので、首元に剣を当てて強制的に黙らせる。
ティボー程ではないが、盗賊行為という凶行とリュボフを攫ったこいつらを無条件に野放しにする程甘くない。
「いいか?今のお前の生殺与奪は俺に握られてる。変な行動をしたらその首が胴体とおさらばするからな?」
脅してやると、涙目でわかったという表情をする。
ふぅ……。これでようやく本題に入れる。
「さて、それじゃ聞くが、お前らはリュボフをどこに連れ去った?」
「リュボフなんて子は、あたしは知らないわよ」
「本当か?」
再度剣をチラつかせて脅す。
「本当よ!だから殺さないで……」
う〜む。どうにも嘘をついているようには見えない。これはあれか?聞き方が悪いのか?
「それじゃ聞き方を変えるが、ここに俺くらいの年頃の少女が連れてこられなかったか?」
「そ、それなら知ってるわ。昨日、獣人の少女が一人連れて来られたわ」
「知ってるのか!その子は今どこにいるッ!」
「お、奥の部屋の牢屋にいるわ」
「そうか、案内しろ」
盗賊の女を立たせて場所を案内させる。
尋問が終わったところでティボーも合流して奥の部屋を目指す。
奥の部屋に着くとそこには誰もおらず、盗賊共が集めたであろう財宝が辺りに散らばっていた。
そして、その奥の牢屋に見慣れた顔を見つけた。
「ご主人!ご主人来てくれたのだ!」
「リュボフッ!」
俺はなんとかリュボフと再会することが出来た。




