24-敵はどこに?
一先ず、夕飯を食べて英気を養う。
今この状態でリュボフを取り返しに行っても、また負けるのは確実である。
なので、ここは焦らずに魔力の回復と傷の手当てに時間をかける。
しかし、その理性的な考えとは裏腹に感情は焦る一方である。
もし、もうリグニッキャにいなかったらどうしよう。もし、殺されでもしていたらどうしよ。
そんな考えても仕方ない"もし"が心を支配する。
「リュボフなら大丈夫ですよきっと」
まるで心を見透かされたようにタチャーナに慰められる。
そうだ弱気になってどうするんだ。
「彼らの狙いからして、リュボフを今すぐどうこうする気はないでしょう。だからこそ今のうちに回復してください」
「わかってる。万全の状態でも勝てなかったんだから」
「ところで、リュボフって誰すか?」
早々と食事を終えて、話を聞いていたティボーが突然そう切り出した。
え、あ、うん。そうか。ティボーはリュボフの事知らないもんな。
「ティボー。あなたって人は……本当に空気が読めないのだから」
「え、ちょなんすか!?これ俺が悪い流れすか?」
その動揺ぷりに思わず笑ってしまう。
ティボーのおかげで落ち込んでいた気持ちも回復した。彼が今日ここにいてよかった。
「タチャーナ、そうティボーをいじめてやるな」
「そ、そうっすよ!」
「エズ様が優しいからってあまり調子に乗らないでください?まぁ、このままじゃ話が進まないので説明しますけど」
「な、なんでタチャーナは俺のことをこんな目の敵にするんすかね?俺なんか悪いことしたすか?」
「知らん。俺に聞くな」
「では、説明しますけど、ティボーはリュボフを知っているはずですよ?」
「いや、知らないすよ……」
ティボーが困惑した顔で困っている。まぁ、面識ないからそういうふうになるよな。
ん?待てよ。父がリュボフを連れてきたんだから、名前は知らなくても面識自体はあるのか。
「名前は知らないでしょうけど、会ったことはあるはずです。カレル様が獣人の少女を連れてきたはずです」
「あぁ!あの子っすか!それで、そのリュボフが攫われちゃったすね?」
「ティボー……あなたって人は」
「え、ええ?」
ティボーがタチャーナにガンを飛ばされてる。かわいそう。
「そのデリカシーのなさが無ければ少しはまともなんですけど」
「俺なんか悪いこと言ったすか?事実を言っただけなのに」
「まぁ、ティボーにはエズ様を守る戦力としてしか期待していないのでいいです」
「うぅ……ひどいっすよ。まぁ、いいすけど。で、リュボフの奪還に行くんすよね?何か当てがあるみたいだけど教えて下さいよ」
「あぁ、当てか。おそらく、ヌワルリェスにいる。明日の朝イチそこに向かう」
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