23-奪還作戦
「エズ様!」
家についた瞬間、タチャーナが駆け寄って来る。
「こんな傷だらけで帰ってきて、どれだけ心配したか分かってるんですか!」
そしてそのまま頬をビンタされる。その後、タチャーナに抱きしめられる。
心配させてしまい、いたたまれなかった。
「ごめん」
「衛兵から連絡を受けた時、この世の終わりかと思ったんですよ?もし、これでエズ様が死んでしまってたらどうするつもりだったんですか!それにリュボフだって……」
「ごめん……攫われちゃった」
沈黙が場を支配する。しばらくした後に、タチャーナがおもむろに口を開く。
「もしかして、リュボフに魔法を使わせました?」
「え、ああ。使わせたけど?」
「そう、ですか……」
神妙な顔持ちで、何か心当たりがあるような気配だ。
「エズ様?まず大前提として、獣人はほとんど魔法を使えないとご存知ですか?」
「そうなのか?」
ゲームでは敵キャラとして出てくる獣人は魔法使いまくってたから、使えるものだと思ってたのだが違うのか?
だとしたら何でリュボフが魔法を使える?もしや、それが攫われた原因か!?
「知らなかったのなら、無理はありませんね。それからこの話はここだけの秘密に。一先ず、ごはんにしましょう?」
確かに腹が減った。……本来ならマグロを調理してもらってリュボフと食べるはずだったのにな。
叶わなかった事を考えながら、一度部屋に戻り用意してあったタオルで汚れを拭う。
その後、食堂へと向かった。
「おい、どうしてティボーがここでメシ食ってるんだ?」
「それは私が呼んだからですよ」
「タチャーナが?」
驚くべき事に食堂についたらティボーがメシを食っていた。
何で父の下で門番をしているはずなのに?と思ったら、どうやらタチャーナが呼んだらしい。
それにしてもなぜ?
「そうっすよ。急に呼ばれて連れ出されて、ここまで連れてこられたんすよ」
「 ……それは災難だったな。仕事の方は大丈夫なのか?」
「それなら心配無用。いつもサボってるから問題ないっすよ」
「そ、そうか。で、タチャーナは何でティボーを連れてきたんだ?」
「理由は単純です。少しでも戦力になってもらう為です。あとはエズ様の護衛ですね」
なるほど。確かにティボー強いもんな。……これなら、リュボフを取り戻す事が出来るかもしれない。
俺は今までの出来事をティボーに話した。勿論、リュボフが魔法を使えることを省いてだ。
「なるほど。なら、俺が来た意味もあったって事すね」
「ああ。ぜひとも協力してほしい」
「エズ様!まさか、また危険な橋を渡るつもりですか!」
「そのとおりだが?リュボフは必ず取り戻す」
「くっ!」
タチャーナが悲痛な表情でこちらを見てくる。しかし、俺はリュボフを取り戻すと決めている。
「まぁまぁ、タチャーナ。俺もついてくし、安心して」
「あなただから安心出来ないんですよ。ティボー」
「え、ちょそれどういうことよ」
「この際、ティボーでも大助かりだ」
「いや、エズ様までなんすかそれ」
「実際、助かる。俺一人じゃ守ってやれなかったからな」
「そう気落ちしないでください。はじめての対人戦だったんでしょ?それなら、大したもんすよ」
「でも、結果はこれだ」
「過ぎた事は気にきても仕方ないっす。それより、先の事を考えましょ。どうやってリュボフを取り戻すのか。何か当てはあるんすか?」
「当てならある」
相手がポヴァジェニだと分かれば容易だ。ゲームの知識を持ってすれば、リグニッキャのどこに奴らが潜伏してるかわかる。
そして、湖との距離関係的にどこが一番濃厚なのかも。
……待ってろよリュボフ!すぐに助けるからな!
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