214-実力
「『フレアバースト』!!!」
「ちッ!てめぇ!?魔法使いか厄介な!おいッ!野郎共、相手のクソガキの一匹は火属性の魔法使いだ!気ぃつけろ!」
相手が近づいてくる前に、フレアバーストを用いて盗賊共を分断してこちらに有利な状況を作る。
全体で見れば圧倒的に数的不利な状況だが、相手を分断してやれば、局所的にこちらが数で上回る場面が出来る。
そこを一気にルシュキーと挟撃して叩く。
ようは相手に一切連携させず、戦力の逐次投入を強要させて、常にこちらが有利な状況を作ればいい。
そして、フレアバーストを用いた事で、盗賊の頭は俺を火属性の魔法使いと勘違いしたようだ。
この誤解は大きなアドバンテージになる。
なぜなら、俺はゲームに出てきた魔法は全て使えるんだからな。
「ぐはッ!」
「エズ!横から回ってくるぞ!」
「よしッ!こいつもやっちまうぞ!」
「頭ァ!?コイツら中々手練れだ!?」
何人かの盗賊を片付けたところで手下の一人が叫ぶ。
ふん。今さら気づいたところで遅い。
「 みたいだな。だが、対した脅威じゃない。確かに、手練れかも知れんがまだまだヒヨッ子だ。それにこの状況を作り出してるのは魔法使いのクソガキだ。言っただろ気ぃつけろって?さて、そろそろ遊びも終いにするか」
盗賊の頭がそういった瞬間、視界が歪む。
「 なッ!?」
そして、気づいた時にはルシュキーと分断されており、盗賊の頭が眼前におり、頭の獲物の戦斧が迫ってくるのが見える。
「ヤバよ。中々に楽しませてもらったぜ?」
回避しきれない。
そう思い、重傷を負うことを覚悟して攻撃を受け流す覚悟をした時だった。
――ガキンッ!
金属同士がぶつかる音が聞こえる。
そして、そこに立ってのは、相変わらず煙草を加えたままの勇者だった。
「 そろそろ終わらせるのは、俺も同感だ。この坊主共の練習はもう十分だし、何より腹が減った」
「 テメェ……!卑怯だぞ!手を出さないんじゃ!?」
「卑怯?それを盗賊の首領が言うかね?」
その言葉とともに頭の首が宙を舞った。




