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「本当にあったな」
藪の中を進んでいくと、目の前が開けた洞窟が出現し、そこがどうやら盗賊のねぐらになってるようだった。
「さて、こっからどうする?」
拠点化された洞窟は、入り口に暇そうにしている見張りが二人立っている。
今ならこいつらを無力化すれば楽に中に入れそうだ。
「そうだな………」
勇者はそう呟くと、身を潜めていた藪からいきなり飛び出して、見張り達の前へ姿を現す。
「ここが盗賊のねぐらだな!?俺は急いでるんだ!さっさと頭を出しやがれ!」
急に姿を現して、そう荒々しく吠える勇者を目にした見張り達は驚いて、一人は慌てて洞窟の中へと逃げ込み、一人は武器を構えて相対する。
「何やってんだよ!勇者!」
ルシュキーが居た堪れなくなって、藪から同じように飛び出して勇者に問う。
「わざわざ内部がどうなってるか分からない拠点に入って戦う必要もないだろ?外で待ち構えて戦えばいい」




