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「おい、起きろ」
勇者は、ルシュキーと二人がかりで無効化した盗賊を縛り上げると、荒々しく盗賊をぶん殴って起こす。
「ぐはッ……!て、てめぇ!俺が誰の下についてるか分かってんのか!?」
「知るかよんな事。俺は、軍資金がなくて困ってんだよ」
勇者は淡々とそう言いながら、おまけ感覚でもう一発盗賊にお見舞いする。
その様子が余りにも手慣れすぎていて、これではどっちが盗賊か分かりゃしない。
ま、ゲームとかでも勇者って他人の家の壺とか勝手に割って、金取ってくからこんなものかもしれないが。
「お前の命なんざ興味ないが、俺の仕事が終わるまでは生かしといてやるよ」
「誰がてめぇらなんざに協力するかって――ぐぁあああッ」
口答えする盗賊に向かって、勇者は自分の吸っていた煙草を盗賊の頬に押し付ける。
「ほれ、お前らもよく見といて学んどけよ。情報ってのはな奪い取るもんなんだよ」
勇者はそう言いながら淡々と暴行を加える。
こいつ本当に勇者なのか?




