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「なぁ勇者――」
「静かに」
ルシュキーが勇者に声をかけたところで、勇者が静止する。
その理由は明らかだった。
目の前に今さっき襲われたであろう小規模な商隊の残骸があったからだ。
「一足遅かったか。だけど、これでここらへんに潜んでる事は確定したな。で、一体これからどうするんだ?」
「まぁ、一先ず盗賊を追うのが先決だ。こいつらには残念な話だが埋葬は後回しにする」
「で、追うアテはあるのか?」
「この荒らされ具合を見るに、盗賊側も負傷してる。その証拠に血痕がヤブの方に続いてる。それを追う」
あぁ。こんなのクエストであったな。
畜生。面倒だがとにかく血痕を追うか。




