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「それじゃ、またね。エズ。また、寄っていってよ。いつでも歓迎するからさ」
結局、テオ兄にはリグニッキャの懸念をほとんど伝える事は出来なかった。
これは俺がゲームで知り得た事を上手くこの世界の現実に即して伝える事が出来なかったからだ。
だから、伝えなかった。
いや、リグニッキャが帝国に襲われるかもという懸念事態は伝えた。
しかし、その脅威までは伝えなかった。
この事は俺が対処すればいい。
そのために力をつけて守りたいものを守ればいいだけだ。
「その力を得る為に来てやったぞ勇者」
俺は死んだ目でタバコを咥える勇者の元へとやってきた。