17-湖生巨大マグロ
冒険者として活動をはじめてから、しばらく経った。
この間にリュボフと2人、スライム討伐をはじめ様々な依頼をこなした。
主に討伐系の依頼をこなしていたが、いくら数をこなしても中々ランクが上がらない。
ランク自体はどうでもいいのだが、ランクが上がらないと稼げないので、そろそろ上がってほしいものだ。
ま、それでもちょっとずつ資金は貯まってるんだけど。
「ごしゅじ〜ん。今日は何を狩るのだ?」
「そうだな……」
今日も朝からクエストボードの前で依頼を吟味していた。
そろそろスライムを狩るのも飽きたし、何かいい依頼がないものか。
「あ、この依頼あるんだ」
「くぅん?ツンヌスの納品?今日はこれにするのか?」
ツンヌスの納品。ツンヌスとはゲームで出てきた淡水に住むバカでかいマグロの事である。
内陸に位置するリグニッキャで、割と見かける魚の一種類である。
そしてこのマグロ、なんと武器として使うことが出来る。いや、何でだよ……。
クエスト難易度はF。一個上のランク帯な為、一応受けることは可能である。
今日はおばけマグロと格闘するのもありだな。
「ちょうど受けれるし、そうしようかな」
「今日はお魚さんなのだー!」
リュボフもやる気満々だし、この依頼を受けることにした。
今日は鉄火丼だッ!ま、米ないんだけどね……。
さてさて、というわけでやって来ました!マグロが釣れる湖に!
字面だけ見ると意味不明だな。何で淡水の湖でマグロが釣れんだよ。
……ゲームの設定だし考えるだけ無駄か。
「どうやってお魚捕まえるのだ?ご主人」
「勿論、釣るんだよ。これでなッ!」
ここに来る前に、街の道具屋によって買ってきた釣り竿を取り出す。
「そんなんで釣れるのだ?」
「釣れるんだよ!ほら、ものは試しだ」
リュボフに釣り竿を一つ渡す。ふふん!こいつがあれば釣れるだよ!
ゲームではこれでバカみたいに釣ったからな。
「ほ〜ら、食いついた……ってヤバ!湖に引きずり込まれる!早速お目当てのツンヌスか!?」
釣り糸を水面に垂らして、ものの数分でヒットした。
重量感が竿のしなりかなら分かる。これは早いとこ決着をつけないと竿が殺られる。
……その前に、糸が逝く可能性もあるが。
「ご主人頑張るのだぁ!」
「応援するくらいなら手伝ってくれないか!?」
得物が暴れるせいで、身体が振られる。このままだと水面に転落する……。
なんで魚相手に今までで一番手こずってるんだ?
「くそッ!我が身を解放せよ『身体強化』!これでいい加減釣れやがれ!」
ここ最近で新たに習得した魔法――身体強化を使って、自身の身体能力を限界まで上げる。
これで、水中の魚に遅れをとることはない。
あとは、ありったけの力を込めて竿を引くだけだ。
魔法の力で、今まで均衡していた状況がこちらに傾く。
ついにツンヌスが姿を見せ、宙を舞った。
反動で俺は後ろへと倒れ込んだ。
そしてツンヌスは宙を舞ったあと、地面に叩きつけられ、ビチビチと酸素を求めて暴れている。
「.……ぜはぁ、はぁ、はぁ、獲ったど!」
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