169/335
167
「しかしながら、シュテルツィヒ家の息子と争ったと聞いた時は卒倒するかと思ったぞ」
食事の途中、不意に父上からボニフォーツとの決闘の事を聞かれ、ぎくりとして食事を詰まらせる。
「ケホッケホッ。よくご存じですね。ま、経緯はどうであれ事実です。その節は父上にご迷惑を……」
「よい。もう過ぎた事だ。それに、シュテルツィヒ卿も子供同士のよくあるじゃれ合いだとご理解して下さった。ま、私としてはそれで学園内においてエズが孤立でもしてないかと心配してたが、どうやら大丈夫そうだしな?」
そう言って父上はルシュキーの方をちらりと見る。
父上に見られたルシュキーはヘビに睨まれたネズミのようになって、食事の手が止まる。
父上、ルシュキーの事をあんまりいじめないでやってくれ。