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「ほんっと!こんなに広い王都から猫一匹見つけるなんて無理よ!」
猫探しに根をあげたスサンナが天を仰いで叫ぶ。
ま、それも無理はない。手がかりはルシュキーが喫茶店の入り口で見かけたという情報しかないのだから。
そうそう、ルシュキーはというと意外な事に一生懸命探していた。
……ヴェルソア公の猫って知ってやる気が出たか?
何か急遽仲間に加えたが、意外と役に立ってる。というより、スサンナより仕事してる。
「かれこれ30分くらい経つけど見つかんないもんだな?エズ」
「ま、すぐに見つかるもんならわざわざ公爵も依頼に出さないだろ……って、スサンナ?お前の頭にいるのって?」
座り込んだスサンナの頭の上に居たのは、依頼書に描かれたのとそっくりの猫だった。
「あ、その猫!俺が見たやつだエズ!」
「みゃー」
「え?え?ウソ?ウソ?あたしの頭の上!?」
「逃がすなよ、スサンナ!」