13-季節が巡り冬になった
この世界が昔プレイしたゲームの世界で、その中のモブキャラに転生したと気づいたのは、草木が青々と茂る夏のはじめであった。
そこから、学園に通う為に金策を行った。
結果として塩を100kgとズノイモでサフィレットを手に入れただけで失敗した。
唯一の収穫はポケットを叩くとモノが増やせる複製魔法だけであった。
そして、ノラネコのフェルナンを拾ったり、父から奴隷として犬の獣人の少女であるリュボフを貰ったりした。
これが半年前の出来事である。
時が経つのは早いもので、あれから半年たった。
気づいたら冬になっていた。
外がすぐ暗くなるようになったし、空気が肌に触れると痛く、厚着をしないと外も出られない状態だ。
リュボフはさすが獣人というべきか、夏の頃に着せられた夏用のメイド服のままである。
そのかわり、毛が生え変わり冬毛になってもふもふ度が増した。
欲望が抑えきれなかった俺は、リュボフを捕まえて心ゆくまでもふもふしたし、吸った。
そのせいでリュボフに警戒されている。
ま、諦めたのかモフらせてはもらえるけど、モフってる間はジト目でこちらをずっと見ている。
だが、リュボフをモフってると仕事の邪魔だとタチャーナに怒られるので、代わりにフェルナンを吸うのだが、オス猫フェルナンは機嫌が悪いとすぐに猫パンチを繰り出し逃げてしまう。
ま、悪いのは俺だから仕方ない!欲望に忠実なのだ!
さて、この半年間だが、複製魔法のおかげで資金に余裕が出来て、食糧事情が多少改善された。
家族が増えたので、あの時に複製魔法を手に入れてなければ、結構危うい状況になってたかもしれん。
食事に多少なりとも供給されるようになった肉と大量の豆のおかげもあり、毎日行っていた筋トレの効果が目に見えて現れた。
かなりバルクアップしたし、まだ子供なので成長も早く背も結構伸びた。
体力がある程度ついたので、戦士としての基礎の部分は出来てきたと感じる。
「というわけで、冒険者登録をしようと思う」
「はぁ。それはいいですが、急ですね。今度は何をはじめるつもりなんです?」
「お金稼ぎだ」
「そんなに稼ぐ必要がありますか?」
あ、タチャーナに学園に行く為に金を稼いでるってそういえば一度も話してなかったな。
「ま、学園に通おうと思ってるからな。その為の費用を捻出しないとだし、それに家族も増えたしな」
「なるほど。それで色々やってたんですね。その割には無駄遣いもしてたような?」
「そ、それも必要だったんだよ」
中庭に未だ放置してある塩の山から目を逸らして答える。
半年も経っているのに未だなぜか放置してある。
「はぁ。わかりました。けれでも、今日はもう外も暗いので明日にしてください」
「わかったわかった。今日は筋トレして明日行くよ」
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