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「ルシュキー!」
「任せろッ!」
横にすり抜け、エフーシャを狙うゴブリンの攻撃をルシュキーがすかさず防ぐ。
「ファイヤアロー!」
ルシュキーがヘイトを買っているうちに、エフーシャがファイヤアローでゴブリンを仕留める。
流石学園の生徒で、魔法オタクなだけはある。
今回のダンジョンだが、先陣を俺が切って、タンク役としてルシュキーが、そして後方にエフーシャが構える形となってる。
「あ、ルシュキー君怪我してる」
「ん?ああ、こんくらいなんてことねぇよ」
「ダメだよ放置してちゃ!ちょっと待ってて……『ヒール』!これでよくなったでしょ?」
エフーシャがパーティーに入ってよいことの一つがこれだ。
エフーシャは回復魔法が使える貴重な人材なのである。
回復魔法は俺も何とか覚えようとしたが、これだけは何故か習得する事が出来なかったんだよな。
だからこそ、回復魔法が使えるエフーシャはうちに必須なのだ。
「わさわざ回復魔法なんて大丈夫だって。まだまだ先は長いんだから魔力は取っとけよ」
ルシュキーが照れ隠しで素っ気なく答える。
ま、一理ある。どうせルシュキーはこんくらいほっといてもすぐ治るし。
それにエフーシャはまだまだ戦闘経験が足りないからこういうところで損耗していては、すぐに引き返さなきゃならなくなるしな。