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「現在、我が王国は危機に晒されている」
王に促されて宰相が説明を始める。
「その危機のせいで、この場で貴君らに報酬を払う事は出来ないが、この危機が取り除かれたら報酬を払う事は確約する」
「その危機とは一体?」
ルシュキーが報酬という言葉に目がくらみ、宰相に質問を投げかける。
「王国は常に色々な危機に晒されているが、今最も我々の頭を悩ませてる問題は、ヌワルリェスの拡大という事だ。補佐官」
宰相はそう言って補佐官を呼び、補佐官が包められた地図を開く。
「ここから先は王国の秘密情報になる。くれぐれも他言しないように」
宰相はそういうが、その地図を持ってる人が一番口が軽そうなのは目を瞑るべきなのか?
ま、補佐官だけじゃなくてルシュキーもいる時点でもう終わりだろう。全て諦めて宰相の話に集中しよう。。
「これは王国の地図だが、ヴェルソア地方を除いてヌワルリェスの魔物に対抗できずに、放棄された土地が増えている」
宰相がヴェルソア地方と言うときにこちらをちらりと見る。
「放棄された土地は直轄地となるが、ここからは税収が得られずに国庫を圧迫している。これが我々を悩ませてる問題だ」
なるほど。だから、国に金がないから今すぐどうのこうのは難しいという話だな。
「でだ、この問題を解決する為に近々遠征隊を派兵し、この地を開拓する計画がある。貴君らには、シュトルツァの実績を加味してここに参加してもらいたい」
はぁ。薄々感づいてはいたが、この話に繋がるのか。
また依頼ですか。なんか最近こういうの多いな。