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「シュトルツァでは、相当な活躍をしたそうだな?」
「はい。シュトルツァでは、偶然の賜物ですが問題を解決する事が出来ました」
「よいよい、その様にかしこまらず楽にせい。シュトルツァ子爵がお主らの事を大層押しとったしな」
「シュトルツァ子爵がですか?」
まさかあの子爵がそこまで俺達の事を押してるとは知らんかった。
てっきり、定例の報告ついでにちょびっと名前を上げるくらいかと。
「それはもう大絶賛だったぞ。学園の優秀な生徒が帝国の野望を打ち砕いたとな」
「少々大げさに思えますが」
「まぁ、そうかも知れん。領内の問題が解決して舞い上がってたというのもあるだろう。しかし、王国にとっても無視する事の出来ない大きな問題を二人が解決したのは事実だ」
王はそう言って笑顔を見せる。
「この大変な時期に君等の様な優秀な若者が現れて、喜ばしい限りだ。それで、今回の報酬なのだが」
報酬と聞いて青ざめて借りてきた猫になっていたルシュキーが、生気を取り戻して目を輝かせる。
……現金な奴め。ま、この前タコ負けしたばかりだもんな。
「残念ながら、今この場で渡すと言う事は出来んのだ」
王のその言葉にルシュキーが落胆の表情を浮かべてガックシと項垂れる。
「はは。そこの若いのそう気を落とすな。ルシュキーと言ったかな?別に報酬を払わんというわけじゃない。お主らの活躍には報いようとは思っている。ただ、少し今は難しいのだ。おい!」
そう言って王が奥の方に合図すると、奥から宰相とその補佐官が現れる。
ルシュキーはその補佐官を見て、目を丸くして口をアワアワと震わせる。
そりゃそうなるよな。いつもゲーム屋で見かけるおっさんがまさか国の中枢の人間だと知ったら。
「宰相、彼らに例の件を話してやってくれ」
「いいのですか?」
「構わん。どのみち暫く経ったら公表する事だ」
王にそう言われて宰相が説明を始める。