121
「どうしてこうなった」
滅多にしない正装に身を包んで、空を見上げて問いかけるが、答えは返ってこない。
全く。本当にどうしてこうなったのか。
いや、これもそれも端を発すれば、シュトルツァ子爵――いや、ナスタジョ……いやいやそもそも!ボニフォーツからだ。
なんて嘆くが、状況は変わらない。
何の手違いか、俺は今王城に居て、王の謁見待ちだった。
この状況を聞いたら、実家の父さんが卒倒して倒れてしまうな。
ほら、見てみろよ。何の間違いか一緒に呼ばれたルシュキーが真っ青な顔してやがる。
そりゃそうだよな。普通に生きてたらこんなところとは関係ない人生を送ってたんだろうからな。
はぁ。本当にどうしてこうなったんだか――。
「王の使者だって?そりゃ一体どういう事だ?」
ルシュキーから怪しげな投資話を聞いてしばらく。普通の学園生活を送ってた所に、王の使者を名乗る騎士が現れた。
「リグニッキャ伯のご子息、エズワルド様だな?つい先日、シュトルツァ子爵から領内での問題に大変尽力されたと王に報告が入った。その件で王が是非ともとの事だ」
なるほど。シュトルツァ子爵が報告して、まさか本当に褒賞の話になったわけだ。
しかし、このタイミングか。中々一筋縄で行かなそうな雰囲気だが、腐っても俺は貴族だ。ここで断るって選択肢はない。
それに何だか隣のルシュキーがワクワクした目をしている。
お前、分かってんのか?王に会うんだぞ?ま、多分頭中は金の事で一杯何だろう。
「そちらのご友人、ルシュキー殿も是非にとの事だ。明日、王城で定例の報告会があるので、そこに出席願いたい」