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「実はさ。近々王命で、ヌワルリェスを開拓する為の戦士団が派兵されるって聞いてさ。だから、これに乗じて一山あてないかって思って」
エフーシャが庇うので渋々、ルシュキーの儲け話を聞いたのだが、それを聞いて俺は驚いた。
何故なら、ルシュキーの言ってる事は、ゲームではこの先起こることだったからだ。
「ヌワルリェスを開拓?とても信じられないけど……」
エフーシャがそういうのも無理はない。何故なら、ヌワルリェスは広大かつ帝国と接しており、ある種の緩衝地帯と化してたからだ。
「いやいやホントなんだって!それに、ヌワルリェスと言っても結構端っこの方で、貴族が放棄した不毛な荒野も合わせてするっていうか、そっちが本命らしいし」
「へぇ~。それが本当ならすごい話だけど、そんなすごい話どこで聞いたの?」
エフーシャにそう尋ねられると、ルシュキーが言葉を詰まらせる。
確かに、こんな話をルシュキーが知ってるのは怪しい。
いや、俺はゲームの展開的にこの話が今後起こる事を知ってるのだが、この話もまだ当分先のはずだ。
それをこの段階でこいつが知ってるってのはどういう訳だ?
「え、えっと……。ゲーム屋で何か王城で働いてるっていう宰相の補佐官?って人が、目押し出来なくて困ってて代わりにやってあげたら、教えてくれたんだよ」
こ、こいつ。そんな奴の言ってる事を信じて、投資話をふっかけてたのかよ。
あ、ほら。エフーシャが若干引いてるじゃん。
いや、その話は多分合ってるんだろうけど。
だってその宰相の補佐官って奴、心当たりがあるし。ゲームでちょこっと名前が出てたし。確かエツウトルって言ったかな?
……あいつ、ギャンブルに入り浸ってるのかよ。
え?王国大丈夫?内情ダダ漏れしない?
「ぼ、僕は遠慮しとこっかな。ヌワルリェスの事、あんまり詳しくないし。多分、そこにいるエズ君の方がヌワルリェスに詳しいから適任だと思うよ」
エフーシャ!なんて余計なこと言うんだ。ほら!そんな事言うからルシュキーがこっち向いたじゃないか!