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「へぇ〜そんな事になってたんだ。ま、俺は平民だから、そういう貴族の柵とか関係ないんだけど」
学園の日程をこなした放課後、今日もルシュキーと落ち合って、帰路につく。
だが、今日はいつもと違う事が一つある。
それは、今日はエフーシャも一緒に帰ってるという事だ。
「そうなんだよ。同じ派閥として僕も困ってたんだけど、エズ君ったら全くその事に自覚がなくてさ」
「はは、それはご愁傷さまだな。まぁ、こいつ案外そういうとこ抜けてるからな」
少し話しただけなのに、エフーシャとルシュキーが直ぐに仲良くなってる事に少し嫉妬する。
前からちょいちょい思ってたけど、ルシュキーって相手の懐に潜り込むの上手いよな。
「で、エフセイ――」
「ルシュキー君もエフーシャって呼んでくれて大丈夫だよ」
「ん?そうか。で、エフーシャ。いい投資話があるんだけど――って痛ってぇ!何すんだよエズ!」
こいつ、すぐ相手の懐に飛び込んで、こういう話をして軍資金を掠め取ろうとするから油断なんないんだよな。
「お前がまた妙な話で人から軍資金をせびろうとするからだ。こいつの話は真に受けなくていいぞエフーシャ」
「妙な話ってなんだよ!俺は本当に――」
「はいはい、また今度聞くよ」
ルシュキーの話を素っ気なく断る。だが、その反応に納得しないものがいた。
「エズ君、それはあんまりじゃないかな?ルシュキー君の話を聞いてみてもいいんじゃない?」
「え、エフーシャ!君こそ俺の女神様だ!」
ルシュキーがエフーシャに擁護されて、痛く感動して、跪いて拝んでいる。
「え、え?そんな事しなくていいよルシュキー君!それに女神さまって!僕、男の子だよ!」
うん。ま、男の娘ではあるな。エフーシャって思えば結構可愛らしい感じなんよな。
「はぁ。芝居かかったのはいいぞルシュキー。エフーシャの言い分でもあるし、話くらい聞いてやるよ」