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一先ず、ナスタジョから依頼料をむしり取る事には成功した。
シュトルツァ子爵からも貰ってるが、こんなんナンボあっても困らんからな。
だが、惜しむべくは、情報を売るという事は出来なかったことだ。
ま、当初の予定は達成出来たし、ナスタジョと下手に交渉してヤブからヘビになっても困るので退散する。
「な、頼むよロレンツォの兄貴!いい投資話だと思わないか?」
「全く。君はいつもそうやって僕に軍資金を求めに来ただけだろ?そろそろギャンブルは卒業した方がいいよ」
帰ろうとする間際に、どこかに消えていたルシュキーが謎の投資話を持ちかけてるのを発見した。
投資話を持ちかけてる相手は、マヤの兄でエンフィルド家の次期当主であるロレンツォ・エンフィルドであった。
てか、こいつ!姿が見えないと思ったら、ギャンブルの資金を無心しに来てたのかよ!しかも、相手は同級生の兄貴だぞ!?プライドとか恥じらいはないのかこいつに!
「全く……。あの時の顔はそういうわけか。ギャンカスのルシュキーめ!帰るぞ!どうもご迷惑をおかけしました」
「ちょッ!何するのさエズ!痛いよ!」
アホのルシュキーに拳骨を食らわせて、襟を引っ張って引きずる。
「あ、ああ。ところで、君がエズワルドか。お噂はかねがね。今度一緒にお茶でもどうかな?」
「悪いが、野郎のナンパには興味ないんでね。それにエンフィルド家は強かだからお断りする」
そう言ってルシュキーを引っ張ってエンフィルド家を後にした。
「はは、振られちゃったか。まぁ、チャンスを気長に待ちますかね」