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「ま、負けた……。俺の全財産がぁ!今日の設定クソ過ぎるだろ!」
王都に帰って来るなり真っ先にゲーム屋に向かったギャンカスのルシュキーは、案の定というかなんというか報酬を全てスッたようだ。
う〜む。今回の依頼をやった理由の一つにルシュキーの金欠解消も含まれてた気がするけど、こいつは多分一緒金欠な気がしてきた。
ま、手に入るかどうかも、しかも手に入るとしていつになるかも分からないが、シュトルツァ子爵がしっかり王に報告してくれれば、王から報酬が渡される可能性があるが、今は黙っておこう。
「てか、ルシュキー。明日からまた課業が始まるけど、そんな調子で大丈夫なのかよ?」
「大丈夫!大丈夫!今からダンジョン潜っていい感じに稼いだら実質勝ちだから。てなわけで、今から一緒に行こう!」
こいつ……。思考回路が終わってやがる。実質勝ちって、ここで負けてる時点で負けなのよ。
しかもこの時間帯に店から帰ってきてる時点でストレート負けしてるでしょ。
それで実質勝ちは流石に無理がある。
「一緒に行きたいところだが、今からエンフィルドに用事があるからまた今度な」
その言葉を聞いて何か悪い事を思いついたのか、ルシュキーの頭に閃きアイコンを幻視した。
「そうだ!エンフィルドってマヤのところだろ?だったら俺もついて行くよ」
「お前、何か悪い事企んでるだろ?」
「いやいや、企んでなんかないよ。ほら、さっさと行こ行こ!」




