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処刑された彼女の晨光(しんこう)の物語  作者: コトウラ セツ
2章 シャンタル・ブランシュ公爵令嬢誘拐事件
29/45

28話 父2

 そんなこんなで2日経った。

 父は今夜にはもう王都に戻らなければならないらしく、私と父は談笑していた。

 そんな時だった。

 朝食後、父の執務室で話していたのだが、その部屋のドアがノックされる。父が許可を出すと現れたのは執事のロージャだった。


「どうした? 今はシャンタルと話しているんだが」


「それが、エリオット第一王子から手紙が届いたのです」


「本当か。シャンタル、開けなさい」


 ロージャから託された手紙の封を開け、中を見ると、そこにはこんなことが書かれていた。


『愛しのシャルタルへ


 誘拐されたと聞いたが体調は大丈夫だろうか。

 救助されたと聞き、すぐに手紙を出したかったのだが、先生からシャンタルの体調面も考慮し、数日手紙を出すのを控えた方がいいと言われて手紙を出すのが遅れてしまった。

 君のお見舞いに××日に公爵家に伺いたいのだが、都合の方はどうだろうか?


 エリオットより』


 つまり要約すると、私は見舞いへ行きたいが、××日つまり明後日は空いているか、という手紙だった。

 私の捜索に当たってくれた警備兵はエリオットが緊急で手配してくれたのだと聞く。そのことについて彼にお礼を伝えるためにも会ったほうが良いだろうと考え、口を開いた。


「お父様、殿下が明後日に屋敷にいらっしゃるそうです。返信のお手紙を書いてきます」


 もっと父と話していたかったが、こればかりは仕方がない。

 紅茶を一口飲むと、私は立ち上がり、父にお辞儀をする。


「ああ、夜までならここで待っているから返信を書いてきなさい」


 そうして手紙をしたため、マーニーに手紙を王都まで届けてもらうようにロチェに頼んで欲しいと伝えた頃には、もう日が傾きかけていた。


「もう少ししかお父様とは話せないのね」


 はああ、と大きなため息をつき、机に突っ伏していると、私のドアをノックする音が聞こえた。

 いつもならドアを開けてくれるマーニーにはロチェに手紙を届けに行かせているため、私が自分で開けることとなった。


「あら、お父様」


「やあ、シャンタル。私が屋敷から出る前に、一緒に食事でもしないか」


「ええ、もちろんです」


 恥ずかしそうに提案する父に私はくすりと笑いながら賛同した。

 そうして私たちは食事の摂るために、ダイニングへと向かった。



 食事を済ませることにはもうとっぷりと日は暮れていた。

 今、私は父を見送るために、玄関前までやってきている。


「シャンタル、殿下によろしく伝えておいてくれ」


「ええ、分かりました。お父様」


 ネクタイを調整しながら言う父に私は同意した。


「じゃあ、また近々帰ってくるようにするよ」


「楽しみにしております」


 私はドレスの裾の端を掴み、丁寧にお辞儀をした。

 そうして、父が馬車に乗り、遠ざかって行くのを私は幾ばくかの喪失感とともに見ていた。

 次から新章開幕となります。よろしくお願いいたします。

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