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094 無駄な改造

 虚しい移住作業をしながらも、十色達は次の目的地に行く為の準備も始めていた。


 月面ドックに回航した『希望』の戦闘艦や支援船は、次の艦隊行動に同行させた方が相手の緊張を和らげると考え、老人達に改造を依頼していた。

 この改造に当たって十色が出した条件は、艦隊行動についてこれる推進力の強化と艦の見た目を換えないと言う2点のみ、それ以外の改造は自由とした事で老人達が変に張り切っていた。 その結果、改造の完了が遅れるに遅れることに・・・


 当初は改造が済んだ艦船が地球から回航されて来るのを待って、テラⅡから第24次避難船団の入植惑星に行く事も考えていたのだが、何時まで待っても完成しないので、この改造艦受け取りの為、一度地球へ戻る事が決定した。


 今回は地球へ戻るにあたり、安全航宙路の通常航宙路ではなく、高速航宙路を試す事となった。 今まで高速航宙路については、専用艦のみ使用していたが・・・ 今の第104囮艦隊はバージョンアップにより加速性能が上がっており、専用艦と同等以上の速度が出せる事からこの試みが決定した。 

 これが成功すれば、今後艦隊の安全航宙路内の移動時間が3分の1になる事になる。


 そして、第104囮艦隊はテラⅡからたった5年で地球圏に戻って来た。 

 早速十色は、艦隊を月面ドックへ・・・ 『希望』艦船の改造現場に踏み込んだ。


「皆、何時まで改造に時間をかけるつもりだ?」


「うん? おや司令、お帰りなさい。」

「あ、見て下さい司令、いい感じに仕上がってきてますよ。」

「外見が弄れないので、戦闘艦の方は攻撃力、防御力、機動力を3倍位 (これで地球の標準型戦艦の半分位の性能)にしか出来ませんでしたが・・・ 支援船の方は貨物船や輸送艦なので艦内スペースに余裕が有るので・・・」


 見てみると、戦闘艦10隻は新品同様にピカピカに磨き上げられドックの奥に鎮座していた。 しかし、支援船の方は・・・

 30隻ばかりの貨物船は、改造ももう終わりなのか装甲板の取付け作業をしているが、輸送艦10隻がまるで臓物をまき散らしたかのようなありさまだった。


「あれの状況は?」


「抜かりなし、貨物船は艦内スペースを全て使い切った。」

「そうそう。 武装は有りませんが、ジェネレーターを最新型に交換、搭載基数を10倍に・・・ 機動力のアップは当然として、シールドの強度を限界まで上げてあるので、重戦艦のタイプ51重レーザー砲の直撃にも耐えられます。 しかも液体防御層が何十にも・・・」

「集中砲火を受ければ別だけど、通常使用では鉄壁と言えるよ。」


「別に船足の強化だけで良かったんだが・・・ で? 残りの船は?」


「残りの輸送艦は、機動力と防御力のアップだけでは・・・」

「そうそう。 そけだけじゃつまらないし?」

「やれる事はやってみないと・・・」


「で? 何をした?」


「そんな大したことは・・・」

「そうそう。 新型巡洋艦の中心に搭載してある、大型電磁投射砲を6基束ねようとしただけ・・・」

「上手く行けば6砲身のガトリングタイプの速射レールガンが出来上がり?」


「それで上手く行かずに、あの有様か?」


「いや、そんな事は・・・」

「そうそう。 ガトリングレールガンは出来上がったし、試射の結果も良好だったし・・・」

「ただ、船の形を変えないで搭載するのに手こずっているだけで・・・」


「分かった。 時間が無いから今回はガトリング砲無しでさっさ組み上げてくれ。」


「いやいや司令、それは無ないですって。」

「そうそう。 ここ迄したら最後までやらなきゃ」

「これで組み上げたら、貨物船と同程度の性能・・・ 芸がない」


「「・・・」」


「いいからやれ!」


 十色の一言で直ぐに組み立てる事に・・・ 

 そして翌日には、元『希望』艦船を艦隊に取り込んだ第104囮艦隊が出港していった。


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