088 これが秘密?
早速マーカーを頼りに動きを追跡すると、
「そういう事か・・・ 分かってしまえば簡単な事だ。 街と街を隔てる山を貫くトンネルに隠し通路か・・・ 彼等の秘密は地下ではなく、山の中に有ったんだね。」
「はい。 但し、山からだと鉱石は未だしも、原油が採取できるとは思えません。 まだ秘密があるかと思います。」
「それも、暫くマーカーを追跡すれば手がかりが見つかりそうだけどね。」
こうして新たな手掛かりを基に更なる調査がつづけられた。 今度は相手の手口がそれなりに分かっている事から入手される情報も今までと比べ・・・
「さてと、街の周囲の山々がほぼ全て宇宙船の偽装である事が分かったわけだが・・・ 彼等の口から出た『本国』については、何か情報は手に入ったかな?」
「はい。 残念ながらそれについての情報はまだ・・・ 埋めてある彼等の宇宙船を調べましたが、殆どが同型の輸送艦でした。 我々の知らないタイプではありましたが、各部位の特徴が大戦時代の量産型と一致する事から、それらを基に後年造られた物と推測されます。 又、各輸送船の船倉は8割がた埋まっており、各資材が詰め込まれていました。」
「成程・・・ 避難船団のどれかが本国で、彼等はそこからの移民の可能性が有りそうだな・・・」
「はい。 この宙域を中心に周辺の捜索を強化します。 彼等の言う本国はそれ程遠くないと推測されます。」
「残りの船団だと、第1~5、19、23、24次避難船団と第20、21次避難船団から分離離脱した避難続行船団辺りになるか・・・ これは、以前の捜索で見逃しが有ったという事かな。」
「はい。 否定はしませんが、おそらくはこちらの捜索隊が調査を終えて出て行った後に入植した可能性が高いのではないかと思います。」
その頃、この星の秘密の部屋では、
「局長、本国の連中に我々の星が見つかったようです。 未登録の男女を見つけ、拘束しようとした所UFOが現れ連れ去りました。」
「すまん。 何が現れたって?」
「・・・UFOです。 アダムスキー型UFOが現れました。 本国の連中、こちらを揶揄っているに違いありません。」
「本気で行っているのか?」
「これがその時の映像です。」
そう言うと、部屋のモニターにUFOが映し出される。
「「・・・」」
「これはまた・・・ 見事にアダムスキー型だな、まるで特撮映画を見ている様だ。 本国は何を考えてこの様な・・・」
「ですから、奴らはこちらを揶揄っているに違いありません。」
「落ち着きなさい。 いくら何でも揶揄う為にそんな事をするはずがありません。 開発にどれだけの予算が必要だと・・・
必ず何かしらの目的があるはず。」
「しかし・・・」
「先ずは相手を捕まえる事が先決です。 ここでいくら言い合っても無駄、何の解決にもなりません。」
「わかりました。 人員を増やして捜索を続けます。」
さて、こうしてこの星 (『希望』と判明している。)の人達は、十色の事を勘違いしたまま探すことに・・・
そして、それに気づいた十色は・・・
「何か面倒くさいかも・・・ いっその事・・・」




