082 新事実
さて、部隊改編が本格的に始まる中、十色達は月面ドックへと来ていた。
そこには金星から持ち帰った物が全て並べられ、老人達による詳しい分析が行われていた。
「何か新事実は見つかったか?」
「おお、司令・・・ 勿論見つけましたとも・・・」
「そうそう、こういう事ならバイオコンピューターにも負けないですとも・・・」
「あーだこーだ・・・」
「・・・」
「・・」
「・」
「で、結論は?」
「こいつは・・・ 未完成だったのではなく、解体途中と見るべき物かと・・・」
「金星の過酷な環境に有ったので、正確なところは判りませんが・・・ 5千年以上昔の物かと思われますな。」
「そうそう、作業機械群とは年代がずれ過ぎておる。」
「但し、それが何を意味しているかはまでは・・・ まだまだ不明ですがな。」
「・・」
「・」
「そうか・・・ 何故古いゲートを分解していたのか、理由が知りたいところだが・・・」
「普通に考えれば『ファースト』にとって古いゲートは利用価値が無くなった。 存在が邪魔になった。 とかでしょうか?」
「そうだな、わざわざ地球と戦争をしてまでゲートを撤去する意味が・・・ 理由が有ったはず。 利用価値が無くなった物の為に、戦争を始めるだろうか?」
「はい。 でしたら邪魔になった方でしょうか? 当時の地球は本格的に宇宙への進出を始めていました。 いずれは金星のゲートにも気が付いていたはずです。 『ファースト』にとってそれは戦争をしてでも阻止すべき事であり、そのゲートの先に在る物を隠したかったのでは?」
「・・・『ファースト』の母星とか、敵対種族の居る宙域へでも繋がっていたかな?」
「はい。 敵の敵は味方と言いますし、それなら戦争をしてでも邪魔しに来るかと・・・」
「ちなみに・・・ そのゲートを直して、繋げる事は可能なのかな?」
「はい。 それは・・・」
「おお、直すだけなら可能だけども・・・ ただし問題が有ってな・・・」
「リンクが切れているし、アドレスも消失しているから、何処に繋がるかが全く・・・」
「もしかしたら、敵の主力艦隊の集結宙域と繋がる可能性も・・・ 」
「・・」
「・」
「何か『ファースト』の弱点が見つかるかもと思ったけど・・・ ダメそうだな、それでは試す事は出来ない。」
「「・・・」」
「所で司令、今回の情報は各国と共有しますか? それとも・・・」
「そうだね、これを最終調査報告として各国に情報を回しておいて、今回の件はこれで終わりにして宇宙に戻る事にする。」
さて、本当の意味でゲート事件が終わり、第104囮艦隊は旅立って行った。 そして今度こそ小惑星の秘密を暴くべく・・・
「さて、小惑星にむかっているわけだが・・・ 今度こそ何かしらの成果が欲しいところだな。」
「はい。 小惑星から金星、そしてまた小惑星に・・・ 往復90年でナノマシンの開発も進みます。 成果が0と言う事は無いかと・・・」
「そうか・・・ いや、そうだな。 よし、やる気を出して行くとするか!」
「はい、司令・・・ ところで、キョロキョロしてどうかされたのでしょうか?」
「いや、『やる気を出して』とか言うともう1人のふじが出てきそうでな・・・」
「はい。 心配しなくても大丈夫ですよ。 早速、今夜の為に周りに居るバイオロイド達に声を掛けていますから、楽しみにしていて下さい。」
「・・・そう言えばお前達2人は同じバイオコンピューターの端末だったな。」
「はい。 どんな時も貴方とずっと、ずーっと一緒ですよ。」
「そうか・・・」
ヤンデレ化してないか少し不安になる十色だった。
すいませんが明日の投稿はありません。 と言うか、今後火曜日の投稿はしばらく無理になります。
この間の後書きに、不定期投稿になると書きましたが、火曜日と雪の多い日以外は投稿を続けますので、よろしくお願いします。




