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080 まさかの未完

 更に近づき、センサー類が捉える情報の精度が上がりだす。


「現在の所、目標にエネルギー反応無し、非稼働状態の可能性が高いと思われます。」


「ゲートの下側が埋まっている為、絶対とは言えないが・・・ 壊れている感じはしないな。 目的は何なのだろうな・・・

 ゲートの埋まり具合から、他の建造物が有っても全部地面の下だろうな・・・」


「はい。 暴風圏を通過し、地表上は風も穏やかです。 高温、高気圧についても深深度掘削技術 (火星人の技術支援の下に小惑星に穴を掘る時に確立した。)を使えば、十分に対応できます。

 機材は全て小惑星に置いてきましたが、支援部隊の工作艦で製造可能です。 製造させますか?」


「ああ、製造を始めてくれ。 しかし、この距離で反応無しか・・・ 精密スキャナーの使用可能距離まで前進、警戒を怠るな。」


「はい、了解しました。」


 結局最後までゲートが反応する事は無く、調査が続けられた。 途中で支援部隊の一部も調査に投入し、ゲートの分解調査と、周辺地面の掘り下げ作業を行った。


「機材の大量投入による早期解明に努めたわけだが・・・ 何とも・・・」


「はい。 ゲートは未完成、製造作業をしていたと見られる作業機器は燃料枯渇で機能停止・・・ ただのガス欠ですね。」


「何だろう・・・ 情報の共有は大事だが、同盟各国への説明をするのも馬鹿らしい気が・・・ 他に何か情報は?」


「はい・・・ 難しいですね。 元々ゲートの情報は戦後に調べたものが有りますし、そもそもゲート技術は秘匿技術として細部の公開はしていません。

 汎用の作業機械なんかも、こんな古いタイプでは・・・ 300年前の『ファースト』艦隊との戦いで、新型を手に入れて研究済みですから・・・」


「大騒ぎした割に何も手に入らなかったか・・・ 大きな謎が残っただけ・・・」


 こうして、金星におけるゲート事件は終わりを迎えたが・・・


「はぁ~、何かモヤモヤするな・・・ よし、見つけた物は全部月に回せ、後は老人達に丸投げしとけば何か見つけてくれるだろう。」


「はい、了解しました。 積み込み作業に1週間程かかります。」


「ああ、後は任せる。 それと、各派遣艦隊には残りは月基地に持ち帰って調べると、ここでの調査終了を伝えろ。」


「はい、了解しました。」


 そうして十色は久しぶりに月基地に戻た。

 老兵達との戯れに興じていたが、対外的には老人達はコールドスリープ中になっているので、十色が調査をしている事にする必要が有り、しばらく滞在する事に・・・


 せっかくなので新護衛隊標準編成 (仮)の運用試験のデータ見直し等をして、護衛隊標準編成としての正式採用を進めるのだった。


「さて、ふじ・・・ 今後の艦隊再編計画の立案を頼む。 かなりの艦船の増産が必要になる事から建造よりも資源の確保が課題になってくると思う。

 優先順位を付けないといけないからな、先ずは判断用のデータを出してくれ。」


「はい、了解しました。」


 こうして、本格的戦力増強計画が発動された。


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