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078 まさかゲートが・・・

 敵艦隊の観測を始めて10年が経った頃・・・


「司令、火星からの定時報告で重力制御の出力を5倍に高める事に成功したとのことです。 今後、小型化の研究を行い実用化を目指しますとのことです。

 『ファースト』艦隊の観測結果も届いていますが、今日も変化無しです。 敵の装備等のバージョンアップは予想よりも遅いようですが・・・ 時間的な物なのか、何かしらの条件が必要なのか不明です。」


「火星の技術は、次回の艦隊バージョンアップには使いたいところだな・・・

 『ファースト』は行動原理が良く分からん・・・ ゲートも発見出来たが、この10年間出入りした物は無い・・・ まぁ、いつも通り観測を続けてくれ。」


「はい、了解しました。 それと、小惑星の件ですが・・・ こちらの観測機器もかなりの小型化が進んでナノマシンの構造と動きが以前よりも詳細に知る事が出来たのですが。 見つける事が出来たナノマシンは今の所1種類のみ、その行動目的は穴の現状維持だけの様です。 又、自己増幅機能は付いていない様で、おそらく地下にナノマシンの製造施設が有ると推測されます。」


「その製造施設は是非とも欲しいな・・・ こちらのナノマシン開発はまだまだ大きさに問題が・・・ しかし、こんな状態の現状維持とは、どんな意図が隠されているのか分からんな・・・」


「はい。 それなのですが、ナノマシンの制御に失敗、もしくは制御システム自体に異常をきたしている可能性は無いでしょうか? 危険と判断され何も無いこの宙域に破棄された可能性はないでしょうか。」


「・・・可能性、有るな・・・ しかし、ナノマシンの技術はとても魅力的だ危険でも手は引けない。 それに、各艦にはシールドが張ってある。 搭載艇でナノマシンの付着した機器を直接持ち込まない限り汚染される事は無いだろう。」


「はい。 ではこのまま続けます。」


 こうして第104囮艦隊本隊は、謎の小惑星と謎のナノマシンに更に何十年もの時間を費やすことに・・・


 当初10%小さくした世界を繰り返し作っていたが、段々と難しくなり途中からは1%ずつ小さい世界を繰り返し作っていく事になり、更に時間が延びて行った。

 

 又、大穴の底にはナノマシンが多く存在する為、掘下げをしていなかったが、小惑星の反対側から小惑星の中心に向かって穴をあける作業を開始した。 深深度掘削作業については火星人の技術支援が得られ、時間が幾ら掛かろうとも秘密を暴こうと・・・


 そして、もうすぐ大穴と同じ1500Kmに・・・ と、言う所で金星に派遣していた捜索隊からの緊急報告が舞い込んできた。


「司令、金星にゲートらしきものが見つかりました。 現場部隊からは刺激を与えないよう距離を取って待機中との事です。 速やかに戦力を集めて付近を封鎖した後、慎重に調べるべきかと・・・」


「よし、直ぐに第101護衛隊を金星に回してくれ、現場部隊には101護隊との合流まで現状維持と伝えろ。」


「はい、了解しました。」


「本艦隊も動くぞ! 小惑星上の各機、及び各機器は置いて行く。 セーフモードに移行、自機の保全に努めよ。

 準備出来次第、第104囮艦隊全艦出港・・・ 金星に向かう。」


 十色は、小惑星より『ファースト』重視・・・ 直ぐに地球圏に向かったが、到着予定は45年後・・・ 何も無い事を祈るばかりである。

 

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