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077 火星人の元母星

 さて、穴底でのナノマシンの解析が続いていた。


 あれから1年経ち構造の概要は何とか解析出来たが、動力システムや制御システムについては全く進展が見られなかった。

 目に見えない小さい物を見える様にするだけではダメだった。 それを分解して弄繰り回す事でやっと答えが出てくるのだが・・・ 


 ではどうするのか・・・ 少しづつ小さい世界を造って行った。


 分析機器や作業機器を10%小さくしたのだ。 ただ見た目を小さくしたのではない、使われているネジや配線コード、ジェネレーターや機械式のコア・・・ それらの部品を作り出す製造の基盤システム全部を10%小さくしたのだ。 更にはその製造の基盤に使われている部品を生産しているシステムも10%小さくした事で、膨大な量の機器が作られた。 特にコアについては精密作業の限界で造られていたため、10%小さい物が完成するのに8年かかった。 

 そうして完成した90%の世界の更に10%小さくした世界を作り・・・ それを繰り返したのだ。 普通ならそんなバカげた方法は取らないが・・・ 幸い、時間を気にする必要は無い。 いずれはナノマシンの世界に届く・・・ かもしれない。 届かなくても、十分技術開発の発展に貢献しているとして止められる事無く繰り返した。


 更に50年が経ち、小さい世界はまだまだだったが・・・ 火星人の元母星と『ファースト』の発見が報告された。


「見つけたのは後発の2個捜索隊か?」


「はい。 実は先発の3個捜索隊も付近を通ったのですが、その時は『ファースト』の艦隊が居なかった為か母星を見逃しています。」


「・・・バイオコンピューターがそんな見落としをするか?」


「データを見ましたが、仕方が無いかと・・・ 火星の様な星を探していたのに見つかったのは金星の様な星でしたから・・・」


「!?・・・ そこまで違うのか・・・」


「はい。 どの様な技術を使ったのか・・・ 元の姿とはかけ離れています。」


「そうなると・・・ 2000年前の『ファースト』襲撃は金星狙いで、途中にあった地球が邪魔で仕掛けて来たのか? 急ぎ金星に10個捜索隊を派遣し、徹底的な調査を実施してくれ・・・ もしかしたら、奴ら・・・」


「はい、了解しました。 運用テスト中の新捜索隊標準編成 (仮)から10個捜索隊を金星に派遣します。」


「よし、それと見つけた火星人の元母星近辺にゲートは確認出来たか?」


「いえ、まだ見つかっていません。 現在、敵に見つからないよう動きを抑えているため後発組の捜索隊は身動きが取れなくなっています。 先発組の捜索隊が回り込んで捜索を行いますので、今しばらくお待ちください。」


「それと・・・ 発見される可能性が高くなるが、ステルス機を出して定期的に敵艦の編制を確認してくれ。 奴らがこちらの艦隊に対応した装備に変わるタイミングで戦艦の大型化と重戦艦に相当する戦闘艦を出してくるはずだ。 対応に何年かかるか知っておきたい。」


「はい、了解しました。 護衛隊群の派遣はいかがいたしましょうか?」


「こちらもまだまだ準備不足だ。 こちらの宙域に向かって来るまでは監視のみとする。 そうだな、捜索隊の増派を可能な範囲で行っておいてくれ。 今はデータ収集に力を入れてくれ。」


「はい、了解しました。 他国にはどの様に?」


「そうだな、発見場所と艦隊規模を知らせて、ゲートは捜索中と正直に教えればいい。 こちらに向かって来ることが有れば数で押しつぶすが、此方からは艦隊再編が済むまで手出しをするつもりは無い事をしっかりと伝えてくれ。」


「はい、了解しました。 しかし、宜しいのでしょうか? 新護衛隊標準編成 (仮)が正式採用になれば艦隊の再編に千年はかかる事になりますが・・・」


「私としては、さっさと戦って敵を排除したいと言う気持ちも有るが、そうすると開発競争が早まるからな・・・ 出来るだけ時間をかけるのも戦略だよ。」


「はい。」


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