074 本隊のアップデートは・・・
以前と比べ、随分と活気がある様だ。 十色は地上へと降り立ち、その様な事を感じていた。
「ふじ、聞いていた以上に人が多く感じられるのだが・・・ 」
「はい。 この街の住民として登録されているのは200名程ですが、テラⅡや星団連盟からの派遣艦隊や前線基地勤務者の家族が一緒にいますので、1万人近い人達が居る事になります。」
「あれ? 派遣部隊の人達との居住エリアって分けてなかったっけ?」
「はい。 当初はその様に運用されていたのですが・・・ 住民の高齢化と人口減少の兆しが表れた時点で、『大地』の合議制行政システムが基地居住エリアとの住み分けを廃止、統合されました。」
「その結果として住民が増えている事を考えると、『大地』の判断は正解だったようだ・・・」
「はい。 『大地』搭載バイオコンピューターの成長も順調のようです。」
「まだまだ人は少ないけど、問題無いようで少し安心した・・・
さてふじ、話は変わるが・・・ 第104囮艦隊の改修についてだ。」
「はい。 敵テクノロジーによるアップデートについては、現在104を最優先に作業を実施してはいますが・・・ 後、2ヶ月はかかるかと・・・」
「そうか・・・ 少し考えたのだが、今の編制だとアップデートしても『ファースト』の標準艦隊に出会ったら、勝てる気がしないのだが・・・ 強化した方がいいかな?」
「はい。 咄嗟戦闘が起きないとも限りませんし、普段の戦力を増強すべきと考えます。」
「そうなると・・・ うちも新護衛隊標準編成 (仮)と新捜索隊標準編成 (仮)にしてみるか? うちは全部で1万個のコアがあるから2500個を新護衛隊標準編成、7500個を新捜索隊標準編成にするとして、 中核部隊2500隻、攻撃部隊1万隻、支援部隊5万隻 (戦闘艦2万5千隻、支援艦船2万5千隻)、全部で6万2500隻もいれば大丈夫だと思うが・・・」
「はい。 十分ですが・・・ そこまでの部隊改編となると何年かかるか・・・ 下手したら5~6年かかりますが、よろしいのでしょうか?」
「ああ、『ファースト』も改良して来るだろうから、こちらもしっかりと準備しておこう。」
「はい、了解しました。 しかし、1つ問題が・・・ 各標準艦はいいのですが、私や『まち丸』は特殊改造艦船・・・ どの様に対処いたしましょうか?」
「そうだな・・・ 今まで通り普段はドッキングして『富士』と『まち丸』を1隻として運用するが、『富士』のコアと私のコールドスリープ中の本体は『まち丸』に移す。 『富士』を遠隔操縦艦とし、コピー体の私と遠隔操作のふじが『富士』艦橋で戦闘指揮を行う。 緊急時は『まち丸』が分離して逃げる事で本体の安全を確保する。 で、どうかな?」
「はい。 その程度なら改修箇所も少なく済みますし、元々アップデート作業中ですから・・・ 面倒なのは外部追加装甲として液体防御層の取付け位・・・ 問題無いと思います。 後は、盾艦として駆逐艦を数隻付ければよろしいかと・・・」
「では、それで行こうか・・・ 計画と実施は任すよ。 ああ、計画書はコピーを老人達にも渡しておいてくれ、教えておかないと後で文句を言ってきそうだ。」
こうして第104囮艦隊本隊のアップデートは大規模な部隊改編へと変わって行った。
その後、数週間街の様子を見て回った十色は、『サンフロワー8』で<スペースポート札幌>へと・・・
前回の札幌行動の時には山田家が居たな~等と昔を懐かしみながら、大気圏内をそのまま移動していった。
そして札幌についた『サンフロワー8』は、着陸パットではなく展示場へと降下していった。




