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007 遂に手がかりが

 何かと世話をやきたがるふじを部屋から追い出し、十色は深いため息をついた。

 何故あの姿なのか・・・ 見た目小学生位の軍服を着た女の子といい歳をしたおじさんの自分、世が世なら通報案件だ・・・

 もっとも、人類なんて影も形も見えないのだから、気にしなければいいだけかもしれないが・・・


 ちょっと考えてみる・・・ 将来人類を見つけ出した時、年端も行かない女の子を侍らす自分の姿・・・ 死ねる・・・


 久しぶりに目覚めてみれば何とも面倒なことに・・・ と、そこで気が付く今回の覚醒はいかなる理由からなるものか・・・ 定期覚醒ならば何の問題も無いのだが、ふじに気を取られて確認するのを忘れていた。

 

 艦橋に上がろうと部屋の扉を開けると、そこにはふじのバイオロイド端末が・・・


「何でそこにいる?」


「私はあなたの為に存在しているのです。 どんな扱いを受けても離れることはありません。」あざとく?首をかしげながら言ってくる。 わざとなのか、十色の良心に訴えかける感じだ。


「あー お前でもいいか、何か艦橋まで上がる気力が無くなったな・・・」

 十色はふじを部屋に招き入れると、質問を続けた。


「今回の私の覚醒は、定期覚醒か?」


「いいえ、眠りに就いて4年と7か月です。 今回は3捜群の321捜隊からの報告で重要案件A項目に該当すると思われる物を発見した。 との事でしたので覚醒させました。」(3捜群の321捜隊は略称で、正式名称は『国際連合宇宙軍 第104囮艦隊 第3捜索隊群 第321捜索隊』という。)


「何! 本当か! 直ぐに向かうぞ!」

 立ち上がろうとする十色をふじが止める。


「お待ち下さい。 既に艦隊進路は変えてあります。 近場なので半年ほどで到着するはずです。 それと321捜隊には、調査よりも現状維持を優先するよう言ってありますので心配は無用かと・・・」


「そうか、半年か・・・ 」


「はい。 まだ余裕が有りますので、今日はこのままお休み下さい。 報告などは明日詳しく・・・」


「分かった。 今何時だ?」


「1655です。」


「明日は、0800に艦橋に上がる。 それとふじ、スープを用意してくれ、寝る前に少し飲む。」


「はい。 直ぐにお持ちします。」


 その後、布団の中に潜り込もうとするふじを部屋から追い出し、十色は眠りにつく。 もっとも、翌朝目を覚ますと布団の中にふじがいたが・・・



 十色は艦橋で報告された内容を確認していた。


「こちらが送られてきた映像になります。」

 その言葉と共に、正面大型モニターには現場全体を収めた映像が、左右に有る複数のサブモニターにはそれぞれの重要と思われる部分のUP画像が表示された。


 更に、確認が取れたことについての報告がなされる。

「今回発見された船は全部で7隻、内訳はウォーリア級戦艦1隻、オリンピア級巡洋艦2隻、磯風級駆逐艦2隻、輸送船2隻となります。 これらは全て大破しており、行動不能となったことで船団から置いて行かれたものと思われます。 現場にはこれらの艦船以外の船体の一部が見つかっており、おそらく中破以下の被害艦船は船団と共に現場を去ったと考えられます。」


「敵の痕跡はあったのか?」


「現在も現場を中心に捜索していますが、敵の痕跡は一切ありません。」


「そうか・・・ 今までに集まった情報から分かっていることを教えてくれ。」


「はい。 各艦船に残された弾痕から、ウォーリア級戦艦以外はこの戦艦によって破壊されたと考えられます。 そして、この戦艦に残された弾痕はオリンピア級や磯風級以外の艦艇のものもあり、複数の艦から攻撃された事を示しています。」


「まるで戦艦が暴れだし、周りから鎮圧されたかのようだな・・・ 反対に、周りから攻撃された戦艦が反撃したかのようでもあるか。」


「如何しましょう、現場保存の為調査は観測のみに限定していますが、プローブドローンを送り込み精密調査を始めますか? 残骸のコアユニットとデータベースをサーチすれば状況も見えてくると思いますが・・・」


「現場とのタイムラグはどの程度だ?」


「約5秒です。」


「本当か? 新しい通信システムは凄いな。 その程度なら何かあっても指示が間に合うか・・・ よし、現場の艦に精密調査を行うよう伝えろ。 但し直接接舷する事は禁止する。 安全距離を保ち、プローブドローンはUAV(無人艦載機)で送り込むように」


「はい。 現場に指示を送りました。 少々お待ちください。 ・・・現場艦隊からの了解が届きました。 艦が所定の位置に着くのに30分、その間にドローンとUAVの準備を整え、所定の位置からUAVが目標へ移動する時間が20分、その後のプローブドローンの展開時間を考え、約1時間後に調査開始との事です。」


「そうか、では寝ていた間の艦隊のデータでも確認しながら艦橋で待つとするか。 それと・・・ ふじ、サンドイッチを用意してくれ。 朝飯は食べたがコールドスリープ中、胃が空っぽだったせいかやたらと腹がすく。」


「はい。 すぐにご用意します。」


 こうして時間が過ぎていった。

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