064 同盟会議
テラⅡを出発して10年、そこには第104囮艦隊だけでなく、テラⅡからの派遣艦隊が・・・
星団連盟国の宇宙港には第104囮艦隊旗艦『富士』とテラⅡ派遣艦隊旗艦『クレマンソー』を始めとして数十隻の宇宙船が降り立ち、その大きさで周りを圧倒していた。
『富士』の作戦室では、星団連盟とテラⅡ派遣艦隊の代表団が十色と今後についての話し合いをしていた。
「それでは、星団連盟の状況を説明させて頂きます。
先ずは軍関係から・・・ 現在我が国では準独自規格による戦闘艦艇を建造しています。 これは、居住ブロック・推進機器・コア等のユニットは共通規格を採用し、他国との共用を可能としながらも、重レーザー砲・指揮システム・ジェネレーター等を独自性の高い物として集約し、非共通規格の大型ユニットとして製造する事で他国との差別化を計っています。 元々はプラネット国との官民併せた二カ国共通規格でしたが、プラネット解散に伴い単独規格となりました。」
「・・・」
「この為、開発・生産効率はあまり良くなく、一線級の戦闘艦3万隻、二線級の戦闘艦2万隻の5万隻が戦力の上限になります。 二線級の戦闘艦2万隻は母星の守りに残すつもりですので、前線には3万隻の派遣を考えています。」
「3万・・・ 中々の戦力ですな・・・」
「はい。 ありがとうございます。 ただし、先程の理由から交換用ユニットの備蓄数が極端に少なく、損傷艦の修理や友軍への交換ユニット供給能力に難があります。」
「ふむ、継戦支援能力に問題か・・・ 」
「はい。 地球圏での戦争のように長期戦をおこなう余力は無いので、戦争が長引けばこちらには何も残らないでしょう。」
「まあ、正面戦闘は我々地球艦隊が受け持ちますし、交換用のユニットもそれなりに用意できています。 テラⅡ艦隊と星団連盟艦隊には申し訳ないが補給業務に全力で取り組んでもらいたい。 なんせ30万隻の戦闘艦ともなれば物資の消費も半端ない量になるので、補給基地から艦隊までの補給線の維持が問題になっていまして・・・ 」
「はい。 そんな事でよろしければ・・・ それと軍以外についてですが、星団連盟で使用しているタグボートや輸送船、貨物船にタンカーなどは民間企業の保護を目的として企業独自の設計となって居る為、互換性がほぼありません。
勿論、軍艦の規格化に合わせて各企業に協力要請しているので、ネジやボルトにナット、ケーブル等の工業規格は共通仕様になっていますし、極一部に留まっていていますが共通ユニット化も進んではいます。 しかしながら、完全な共通化には未だ暫くの時間が掛かる見込みです。」
「・・・」
「星団連盟の現状としては以上となりますが、『ファースト』出現による危機感から各企業の動きが早まっています。 出来るだけ早い共通化と備蓄を始めたいと考えています。」
「なるほど・・・ 地球側としては、軍需物資の備蓄を最優先にして頂きたいと、要望を上げときますので後ほど検討を・・・」
「はい。 勿論検討させていただきますが、まだ何十年も先の事になりますので・・・」
「ええ、それで大丈夫です。 テラⅡには無理の無い範囲で支援船の増産に入ってもらっていますし、たとえこちらに向かってこなくても、準備が整いしだい『ファースト』の艦隊に対して打って出る考えでいます。 出来るだけ遠くで戦った方がこちらの星系の安全が高まりますから・・・ 」
こうして、『ファースト』艦隊への攻撃を前提とした計画が動き出した。




