059 行政艦『大地』
「!? それは確かにそうでしょうが・・・ 」
「それに、居住区周りの外板は乗員保護の為、ぶ厚い装甲板を使っているけど、それも普通の軽量装甲で良くなるし・・・ 1~2割の資材削減にならないかな?」
「なるほど、全体が軽くなれば推進力に余裕が出ますし、標準型に合わせるなら推進機関を小型の物に換えるのもありでしょうか・・・ 更なる資材の節約にもなりますし・・・ 色々外した分、艦を小さくすることもできそうですね。 そうすれば更に・・・ 」
「あー、確かに資材の節約になるし小型化も考えたんだけどね、標準型との互換性は確保したいと考えているんだ。 接合部の事を考えると極端な小型化は難しいかな・・・ 」
「はい。 互換性を考えるなら小型化は・・・ でも、互換性が有れば現行艦が被弾した場合の応急処置にも使えるし、有用な考えですね。」
「あとできるのは・・・ 製造工程の簡略化かな? 直線を多用し、曲面や微妙な角度付けやめれば、ユニット製造の時間短縮になるはず・・・」
「はい。 時間の短縮にはなりますが、もともとが直線の多いステルス構造ですし、下手に形状に変化が出るとステルス性能の低下を招く恐れが・・・ と言うか、確実に性能が落ちてしまいます。」
「性能低下は頂けないな・・・ 外見はあまり弄らない事にしよう。 内部の簡略化だけでもそれなりの効果は期待だろうから、その辺りが落としどころかな?」
「はい。 ただ問題が1つ・・・ 各コアのバイオロイド端末の居場所に困る事になります。」
「バイオロイド端末か・・・ しかし、建造から100年くらいは自我の発達も殆ど無いからバイオロイド端末は作らないじゃないか、その間に通常型のユニットへ交換するか、コアユニットのみの小型の居住区を作れば大丈夫じゃないか?」
「はい、そうですね・・・ バイオロイド端末を作るコアの年齢は、だいたいの平均で200歳位ですので、それまでの一時しのぎとして考えれば問題無いと思います。」
「では、ふじ。 この省資源型の開発を始めてくれ。 名称は『簡易型』とする。」
「はい、了解しました。」
これにより第12護衛隊群の艦艇建造計画が多少改善されるのだが、それでも残り9万隻の建造に100年以上はかかる予定だ。
さて、そんな中で星団連盟国への移住支援を5年程行いつつ、地球への移民団を集め終えた第104囮艦隊は、地球へ向け出発して行った。
地球の復興を夢見て2000年、やっと第一歩が・・・
其の為、テラⅡでは駆け足で挨拶回りを終えて一泊だけすると、すぐさま安全航宙路に入って行った。
途中、こんなに早く移民団が集まるなら、山田家を後500年ぐらいコールドスリープしておけばよかったかな? などと思いながら・・・ しかし、あの時点ではこうなる事は判らなかったし、儘ならないものだなとの思いに・・・
そんなこんなでプラネット国を出て25年、移民団が遂に地球へたどり着いた。
移住場所としては、十色の独断と偏見で旧オーストラリア大陸が選ばれ北部地域へと艦隊は降下して行った。 (この場所が選ばれたのは、十色の独断と偏見の前に地形的被害が少なかった事が大きい。)
そこには、プラネット国出発前に移民団との話し合いで決められていた都市がほぼ完成された状態で造られており、輸送船内でコールドスリープから覚醒した人たちが次々に大地へと降り立った。 (昔のコールドスリープ装置と違い、今の装置は覚醒直後でも体調が悪くなったりしない。)
後は人を待つばかりと、真新しい建物が立ち並ぶ中で粛々と引っ越し作業は進み。 夕方からは移住者歓迎会が・・・
「ふじ、特殊重戦艦『大地』の行政システムの調子はどうかな?」
「はい。 問題は見当たりません。 まだ幼い船ではありますが、この街と共に成長していくでしょう。」
「そうか・・・ 後はもう少しな・・・」
「「・・・」」
ーー特殊重戦艦『大地』の説明ーー
この戦艦は標準型重戦艦を基に、第18次避難船団の旗艦『バルミィ』に搭載された3基のバイオコンピューターによる合議制行政システムを模した物を搭載したもので、今後の地球はこの『大地』により管理される予定である。
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本日、コロナワクチンを注射してもらってきます。 以前の接種の時は、関節痛や全身の悪寒等で数日絶不調となったので、今回も副反応が出るものと思っています。
すいませんが、次回投稿は週末ぐらいになるかと思います。




