057 電磁投射砲
「本当にそんな事が有ると思いますか?」
「何せ奴らにはワープ技術が有る。 何処にゲートが有ってもおかしくは無いと思っているよ。」
「「・・・」」
「とりあえずは、最悪の事態を想定して準備するしかないですか・・・」
「タイミング的には、そう悪くないと考えているけどね。 プラネット国・星団連盟国との軍事同盟も防衛同盟から攻守同盟に切り替わったし、安全航宙路が完成しているからね。 問題があるとすれば、あちらへの派遣部隊である第12護衛隊群の編制を後回しにしてた為、1万隻と充足率10%でしかない事かな・・・」
「我が国にとっては反対方向ですか・・・ 今までは地球への派遣艦隊や観測基地建設しか考えていなかったから、計画の見直しが必要ですな・・・」
「現状では、哨戒部隊を増やして索敵ラインを広げる程度でいいと思うけどね。 あちらには5個捜索隊が向かっているから、もし敵がこちらに向かっていても事前に気づけるはずだから。」
「では、テラⅡとしては艦隊を派遣する場合に備え、小規模の調査部隊を送ってデーター収集でもしましょうか・・・」
「それで良いと思いますよ。 向こうに有るうちの補給基地で整備補給が出来るから、何時でも派遣してもらって大丈夫です。」
「はい、ありがとうございます。 プラネット国と星団連盟国にはこの事は?」
「定時連絡で情報データは送ってあり、それで向こうは軍の再編中です。 それぞれの国の防衛艦隊と合同の攻撃艦隊の3集団にするそうです。 この内、攻撃艦隊が我々と共に敵の迎撃に参加する予定です。」
「そうですか・・・ 調査部隊だけじゃなく、派遣艦隊の準備もしておいた方が良さそうですね。」
「まぁ、足並みを揃えるならそうなんですが、実際の会敵はまだ何百年も先になると思いますよ?」
「それだけ時間があるなら、新型艦を開発するのもありですかね・・・ 火星人から新技術はどうですか?」
「そうだね・・・ エネルギー関連や重力制御関連で目覚ましい進歩があったけど、まだまだ小規模でね・・・ 今の所、出力を上げる為に大型化中ってところだね。 更に出力を上げたままで小型化出来て初めて実用品足りえるかな? 重力レンズとかが可能になれは高出力の兵器が作れるようになるけど、まだまだ先だね。」
「そうですか・・・ もし敵が奴らならこちらの手の内は知っている事になるので、何か新兵器が欲しい所ですが・・・」
「そうだね。 今有る武器は当時の兵器の延長線上の物ばかり・・・ 我々と同じ様に敵が対策していたらと考えると・・・ 」
「そう言えば、2000前に国連宇宙軍で開発していた電磁投射砲はどうなんですか?」
「ああ、大型の奴が極少数ですが実戦配備されましたけど・・・ いくら高速と言っても宇宙での戦闘は長距離で行われますから、簡単に避けられてましたね。 因みに、敵のセンサーに反応しないくらい小さな弾も打ち出してみたらしいのですが、シールドで蒸発して船体に届かなかったと聞いています。
ただし、近距離戦闘の陸戦隊装備としてはなかなか良い成績をおさめたとの事で、小型化と配備が進みました。 が、艦隊戦には出番が無かったので・・・ ちなみに、今もうちの陸戦兵器に積んでいますが対艦攻撃には・・・ 」
「なるほど、何かしら発想の転換が無ければ対艦兵器には使えないと・・・ なかなかに難問だ。」
「正直、敵の正体は不明ですが、新兵器は有って困る物でもないですし、各国で力を入れて開発する事にしますか?」
「ええ、テラⅡは開発に参加します。 プラネット・星団連盟にも要請だけはしておいた方がいいのでは?」
「分かりました。 そちらは定時連絡で・・・ 強制ではない事を強調しておきます。 ただでも独自路線での艦船設計により、余力が無いでしょうから・・・」
こうして、人類の新兵器開発がスタートした。




