054 視察
風呂については要検討となり、今後作り直すことに・・・
「ふじ、皆が何をしているか分かるか? 誰も大浴場に異議を唱えなかったのか?」
「はい。 司令以外誰も大浴場を使われていませんでしたので・・・ 皆さん部屋のお風呂や貸切風呂をご利用でした。」
「そうか、そちらは普通みたいだな・・・ 今夜の貸切風呂、予約を入れておいてくれ。 一緒に入ろう。」
「はい。 夜までどうなされますか?」
「今日は<スペースポート札幌>の視察をする。 小型機を用意してくれ」
「はい、了解しました。 5分で準備出来ますが、すぐに行かれますか?」
「ああ、すぐ出かける。」
こうして十色達はスペースポートに移動したが、すぐに視察を始めるわけでもなくコントロールタワーから周りを見渡していた。
「記念艦の展示場所は、温泉からこのタワーを挟んだ反対側が良さそうだな・・・ 早速地盤調査の手配を頼む。 問題無ければそのまま工事をはじめてもらって構わない。」
「はい、了解しました。」
そして視察をしながらふじに、
「着陸パットの数だが・・・ 今の所、大型艦用3基とシャトル用12基か、後は小型機用の発着場が別にあると・・・ これ温泉の施設の規模から見ると多すぎないか? 基本的に遊戯施設は新月面基地に十分有るし、ここに来るのは温泉客だけだと考えるとチョット・・・ 」
「はい。 将来の地上施設の増設を考えて、この規模の大きさになっています。」
「そうなると、他の施設も早めに建てるべきかな・・・ 」
その後も視察は続けられ、何の問題も無く終わったが、気になる点が・・・
「今の所、各地上施設は各艦船のバイオロイドが維持管理を行っているが・・・ 将来の規模拡大を思えば専任の管理AIを置いた方がいいかな?」
「はい。 専任AIは有った方が良いとは思いますが、用意しますか?」
「ああ、展示予定のサンフロワー8にコアを増設して専任AIとしよう。 教育は今施設管理しているバイオロイド達のAIが行ってくれ。 旧式のコアもそのまま搭載しとくから艦の制御は機械式コンピューターに任せておけばいい。」
「はい、了解しました。 将来を見据えて地上施設の統括AIを用意します。」
「よし、ではそれで・・・ 後はさっさと帰ってご飯とお風呂だな。 ふじ、小型機の用意を頼む。」
「はい、用意できています。 このまま発着場に向かいます。」
こうして視察を終えた十色は、ふじと共に温泉施設へ戻って行った。
そして食堂で老人達と一緒になり食事しながら話が・・・
「誰も大浴場を使わなかったみたいだな。 これから入ろうと思っていたとしたら悪いが改装工事の為使用禁止になった。 部屋の風呂と貸切風呂は使えるから、そちらで我慢してくれ。」
「はぁ、そりゃあいいですが、何かあったんですか?」
「 ・・・風呂がデカすぎだ、年寄りなら100%溺れるレベルだ。 どうもAIが解釈を間違えたようでな・・・ 作り直す事にしたので何か要望が有れば要ってくれ、出来る範囲で設計に反映させる。 次回以降のお楽しみだ。」
「まぁ、普通の大浴場ならこれと言って何も・・・」
「そうですよ、大浴場は皆で使う所ですから、個人のお楽しみは要らないですよ。」
「そうか、普通の風呂になるよう頑張るよ。 で、皆どんな感じだ? 人間辞めるのに問題なさそうか?」
「そうですね・・・ もう少し時間をもらえれば・・・」
「どうせなら成功させたいですしね。」
「まぁ、此処に居る間に出来るだけの事はしておく方向で・・・」
「「辞めるのは何時でもできますから、後はタイミングですね。」」
「分かった。 その時は言ってくれ、『富士』に複製システムが置いてある。」
そして食事が終わり、十色はふじと貸切風呂へ・・・




