045 地球にも新たな基地を
おかしいな、追いかけられる為に造った街じゃないんだが・・・
十色は昨日の事を頭から追いやり、今朝テラⅡから届いたメールの内容について考えていた。
「以前から話していた、テラⅡからの地球圏派遣艦隊について出発準備が出来たって連絡貰ったけど、こちらから何かしてあげられる事ってあるかな?」
「はい。 特に何かをする必要は無いかと・・・ 現場宙域の情報等、既に必要な物は渡してあります。 それに、何かあってもそう言った不具合箇所を見つける事も、初めて地球圏に行く派遣艦隊の任務だと思います。」
「まぁそうか、過保護になるのもよくないな・・・ 今回は試験的な意味合いが強い派遣艦隊だけど、今後の事を考えると、月か地球に保養施設の建設も考えないとね。 ところで、地球の汚染状況は? 大丈夫だよね?」
「はい。 この1000年あまりは自然回復に任せていますが、24時間前のデータでは384ヵ所の残留汚染地域が確認できています。 中でも高レベルの汚染区域が9ヵ所有ります。 しかし、それ以外の場所では人が生活するのに何の問題もありません。」
「それなら・・・ 派遣艦隊用の基地を月と地球の両方に造ろう。 本来我々が使用中の艦船はドック等の修理用施設を使用しないでも、運用ができるように造られているが、 (ユニット構造なので、無重力状態で船体から分離し、正常なユニットと入れ替え接合する。)それは無人で運用しているからできる事で、その間はとても人が生活できるような環境ではないからね。
今後の事を考えると、月面に大規模な人員収容施設や修理施設、娯楽施設を造るのがいいかな? そして、長期修理等で長く滞在する人向けに地球に保養施設を造って、地球の魅力を味わってもらう感じで・・・ どうかな?」
「はい。 月面での修理となると、小さいとはいえ重力が有ります。 無重力でのユニット交換方式が使えないので、昔ながらの修理方法になりますが、そうなると修理にかかる時間が延びる事になります。 効率の面からすればお勧めできません。 しかし、乗員のストレス等に対するケアとして考えるならば有効であるかと・・・ どちらを優先するかによって答えが違ってきます。」
「そうか・・・ なら乗員のことを優先しよう。 今ある月面基地や建造ドックは我々専用として、大規模な・・・ そうだな・・・1万隻ぐらいの発着場を持った大型基地を新たに造る事にしよう。 月と地球の基地建設候補地の選定を頼むよ。」
「はい、了解しました。」
「地球の施設は四季が感じられて、温泉とか有るといいなぁ・・・ 」
「はい。 温泉も地中レーダーを使えば見つけるのは簡単ですから、大丈夫です。」
「何か楽しみになって来たな、施設が出来たら一度地球に戻ろうかな・・・ 」
「はい、いいかもしれません。 我々の専用エリアも作りましょう。 早速候補地の選定を行います。」
こうして派遣艦隊用の施設を作る計画が進みだした。 遠隔指揮で作業を行うので多少余計な時間がかかる事になるのだがそこはまぁ、派遣艦隊の人達には悪いが、我々がすぐに地球に帰れるわけでもないので気にしない事に・・・
後はテラⅡにも要望を出してもらって計画に反映させる事が決まった。
そして、今回のテラⅡからの地球圏派遣艦隊の任務に、候補地選びも加わる事に・・・ (今回の派遣艦隊は、今後の本格的な派遣艦隊の為の情報収集が目的の為、戦闘艦5隻、支援船10隻の小規模な編成となっている。 その為地球圏での整備補給などは、今ある月面基地や建造ドックでも十分対応可能。 本格的な派遣艦隊は月面の大型基地ができてから派遣される予定である。)




