043 拠点を造る必要が
両国とも今回の会談で得た情報の精査と共に閣議を緊急招集し、いささか乱暴ではあるが優先順位に従って徹夜で意思の統一を計っていた。
両国が忙しくしている中、十色は現状をレポートに纏めテラⅡに送っていた。
これで両国からテラⅡに連絡が入っても上手くやってくれるだろう。 後は両国が軍事同盟に入る事を求めた場合の可否と、テラⅡからプラネット・星団連盟をむすぶ安全航宙路設置用の測量艦隊の現状についての返事を待つばかりである。
「さて、ふじの予測では地球への移民者はいるかな?」
「そうですね・・・ 両国とも人口4~5億人です。 テラⅡよりは多いですが、高い基礎技術力に支えられたインフラが整備されているので贅沢しなければ生きていくのに問題無い環境ですから・・・
ただ、星団連盟は元の船団10個分の支援船がスタート地点だったのに対し、プラネットは船団2個分の支援船がスタート地点でしたので、若干生活環境が良くない事を考えると、プラネットからの移民の可能性があるかと・・・」
「現時点で見ればそうだよね。 でも安全航宙路の設置に200年くらい掛かる事を考えると、その頃には生活環境が改善されてて誰も出て行かない様な気もするんだよね・・・
どうしようか、移民希望者を募ってもらっているけど、ここで200年程コールドスリープで待機してから地球に出発って、なんか詐欺っぽい気がしてきたよ。」
「であれば、安全航宙路の設置完了後に希望者を募るべきです。 その頃には移民希望者が居なくなっているかも知れませんが、逆に増えているかもしれませんし・・・」
「だよね。 訂正しないとね。 明日でいいかな?」
「はい。 両国とも初日で募集まで手が回っていないので大丈夫です。」 (特殊UAVなどで、リアルタイムに両国の情報が富士のサーバーへ送られて来ている。 ふじはそのサーバーの情報を基に返事をしている。)
「そうするとあれだね。 200年後の事を考えると軍事同盟をしてもしなくても、安全航宙路の出入り口としての拠点を造る必要があるね。 将来、移住者募集もしないといけないし・・・ 」
「はい。 最悪、拠点があれば200年後に我々がここに居なくても遠隔指揮で対応出来ます。 更なる人類探索の旅を続けていても大丈夫です。」
「今回、大量に船団が見つかったからね。 後は、第1~第5、第19、第23、第24次避難船団と避難続行船団になるね。 (避難続行船団=第20、第21次避難船団の生き残りで300万人規模と推定されている。)
そしてシングルナンバーだけど、わざわざ損耗廃艦扱いで敵味方識別装置から削除されていたのを敵として復活させたのだから・・・ きちんと滅ぼさないといけないよね。」
「はい。 後は第1、第2、第6~第9囮艦隊が残っています。」
「ああ、こうしている間にも何処かで避難船団を食い物にしているかもしれないから、早く見つけないとね・・・ 」
そうこうしているうちにテラⅡからの返事も届き、明日の会談に備え休むことに・・・
「さて、これぐらいにして飯食って寝るか。」
「はい。 ご飯を頂いて、お楽しみですね。 御主人様。」
いつの間に来たのか、プライベート用のふじが抱き着いてくる。
「いやいや、明日は大事な話し合いだから! お楽しみは無しだから!」
「はいはい。」
十色はプライベート用のふじと仕事用のふじに左右から両腕を取られ、艦橋から食堂へ
そして、食堂で食事をする十色を見つめるバイオロイド達・・・
まち丸を分離していても仕事の都合で富士には100体程のバイオロイド達が・・・
頑張れ十色! 負けるな十色!




