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037 『UFO』

 奴らは何処かの避難船団を丸ごと支配下に???

「まだ詳細がはっきりとしないが、人々が虐げられている可能性が出て来た。 より一層相手に気づかれないように調査を続けてもらいたい。

 こうなると、513捜隊との接触でこちらの事に気づかれたのは・・・ 油断しててくれればいいが、こちらの標準型戦艦を見られたからな、タイプ46重レーザー砲にも気づいているだろうし、どう出るか・・・」


「はい。 相手の動きはデータ不足の為予測不可能です。 情報収集を続けるほか無いかと・・・ それと、現場には現在4個捜索隊が集まっており、513捜隊の不足している戦艦1隻を他の捜索隊からのユニット供給により再建したとの事です。」


「それは朗報だな。 しかし、現場全体の物資が不足しないか?」


「はい。 現在現場に向かっている7個捜索隊が、途中で資源採取をおこなって行く事になっていますので、問題は無いと判断します。」


「了解した。 さて、奴らを観測し始め1年、他に分かったことは? 暗号通信の解読はどうだ?」


「はい。 暗号の解読は未だ出来ていませんが、電波の発信元をたどると殆どが星系を挟んで向こう側からのものでした。 それと、損傷艦をかなりの頻度で確認しています。 推測の域を出ませんが、何かと戦っている可能性が有ります。」


「それは、非常に気になる話だね。 捜索隊による調査範囲を広げてくれ、奥の方に何があるのかぜひとも知りたい。」



 こうして、またしばらく情報収集の日々が続いた。 そして100年、残りの捜索隊も合流し、11個捜索隊が広範囲に散らばった。


「あれから100年、暗号も解読できた訳だが・・・ 複雑だな・・・」


「はい。 取り敢えず相手の正体は分かりました。 第3、第4囮艦隊と第17次避難船団の生き残り、そして第16次避難船団です。」


「ああ、第3囮艦隊の連中は、第17次避難船団を襲った事で味を占めたのだろうな、第4囮艦隊と組んで第16次避難船団を支配下に置き、適当な惑星を開拓して住み着いた。 そして圧政を行い人々を苦しめた。  ・・・話がこれで終わっていれば、囮艦隊の連中を倒し人々を解放して万々歳、はい終わりとなったんだがな・・・」


「はい。 700年程前に民衆が武装蜂起、支配階級だった囮艦隊の子孫を皆殺しに、そして新政府を樹立し今に至っています。」


「そして、虐げられていた400年間、民衆は教育を受けられず過去の貴重な知識が失われ、更には武装蜂起の時に知識を独占していた囮艦隊の子孫達を殺したことで完全に知識の継承が断たれたと・・・ 彼らは何処まで理解しているのかな? 下手したら地球からの移民だと言う事すら知らない可能性があるな。」


「はい。 後、私達の艦隊名は名乗らない方が良いかと・・・ 事情を知らない彼らにとって第104囮艦隊の名前は第3、第4囮艦隊と同じ悪の手先扱いになるかと・・・ 」


「「・・・」」


「そうしてもう1つ状況をややこしくしているのが、彼等の交戦相手だな・・・」


「はい。 通信内容から彼ら自身、何と戦っているのかいまいち分かっていない様で、色々と推測はできますが正体は不明です。 こちらの捜索隊も回り込むのにもう少し時間がかかります。」


「どうやら100年前、513捜隊がいきなり攻撃されたのは、この敵と勘違いされたからのようだな・・・」


「はい。 それで間違いないかと・・・ 彼らとコンタクトをとりますか?」


「いや、まだ止めておこう。 戦っている相手についてもまだ何も分かっていないからな、その辺を調べてから如何するか決めようと思う。 なに、現場まで後100年もかかるんだ、調べる時間は十分有るさ。」


「さて、今後は現場の捜索隊にUAVを使った調査を許可する。 これで、更に詳しい事が分かるだろう。勿論こちらの事が知られないように、十分な偽装を施すよう徹底してくれ」


「はい、了解しました。」


 この後しばらくして、特殊UAVが星系内で頻繁に目撃されるようになると、彼等はそれを『未確認飛行物体』=『Unidentified Flying Object』略して『UFO』と呼ぶようになった。


 十色は、解読した暗号文に『UFO』の文字が出てくるたび、苦笑いを浮かべた。 地球に現れていた『UFO』も敵の偵察機だったのかもしれないな・・・


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