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036 まさか奴ら・・・

 移動しながらも十色達は交戦記録や映像から相手艦隊を詳しく分析していった。


 以下判明した事。

・ 50隻の内訳は、戦艦10隻、巡洋艦10隻、駆逐艦20隻、その他10隻

  (その他10隻の内、4隻は空母の可能性有り)

・ それぞれの艦種毎に同型艦で纏まっている事から、統一された規格が存在している。

・ 艦型、使用兵器、傍受した通信波、センサーの干渉などから人類の作り出した物である可能性が極めて高い。

・ 傍受した通信波には暗号がかかっているため内容は不明、戦時中の我が軍と一緒で近距離はレーザー通信(傍受不可能)、遠距離には電波通信(傍受可能)を使用していると考えられる。

 補足事項として、現在の我が軍は電波通信に変わって空間圧縮通信を使用しているので傍受される可能性は限りなく0パーセントに近い。

・ 敵味方識別装置には反応が無かったが、敵味方識別信号に似たものを傍受したことから、独自の識別システムを運用していると考えられる。

・ 相手の戦艦が使用している主砲は、タイプ40もしくはタイプ41重レーザー砲の可能性が高く、防御系や機関系など、全体的な技術レベルは戦時中のものと同程度か少し上と見られる。

・ いきなり攻撃してきた事から、話し合う気は無いと考えられる。


 又、クロスチェックの意味を兼ねて交戦記録や映像データをテラⅡに送り、解析してもらったが同じ様な結論に至った。 ちなみに、テラⅡからの艦隊支援は無い、テラⅡから目的のポイントまで250年前後かかり、我が艦隊との時間的ずれが大きいとの判断で見送られた。

 但し、将来の航宙路設置の可能性を鑑み、20隻からなる測量艦隊が送り出される予定である。


 そしてその後、付近の捜索隊も現場に駆けつけ色々と調べていった所、地球型惑星を擁する星系を中心に勢力を拡大している事が確認でき、また人類らしき者が居る事も確認できた。

 この時点で避難船団の1つが移住に成功したと考えられたが、更なる観測の結果面白くない事実が・・・


「珍しいなふじ、こんな時間に報告とは・・・」 (艦内時間で夜の11時頃)


「はい。 こんな時間にとは思いましたが、現場から見過ごせない映像データが送られてきましたので・・・」


「分かった。 メインモニターに出してくれ。」


「はい。 こちらになります。」

 そこには、宇宙をバックに数十隻の解体途中と見られる艦船が並んでおり、周辺施設と共に映し出されていた。


「説明を頼む。」


「はい。 先ず解体途中と見られる艦船だけでなく、周辺の施設群にもエネルギー反応が無い事から、長い期間放置されているようです。 各艦船とも武装やジェネレーター等の主要パーツが外されており、関心が無くなり放置された可能性が高いと判断します。」


「それで?」


「はい。 右から2番目に写っている戦闘艦を良く見て下さい。 艦型識別の結果、一致率70.3%でセンティネル級巡洋艦との結果が出ました。」


 と、ガタンと大きな音を立てながら十色が立ち上がり

「そうか・・・ センティネルか・・・ 」

 <ガン>十色は、座席のひじ掛けに拳を振り下ろしながら続けた

「で? 編成表は確認したんだろう? どうだった?」


 急に猫なで声に変わった十色を気味が悪いと思いながらも、ふじはポーカーフェイスを崩さずに、

「はい。 センティネル級が配備されていたのは、第1~第5囮艦隊のみです。 そして既に第5囮艦隊は壊滅しているので・・・」


「ああ、分かったよ。 よく分かった。 第1~第4のシングルナンバーなんだな!」


「はい。 ただし、映像の奥の方に映っているのはコールドスリープ装置輸送船です。 この映像だけでも30隻程映っていましたので、避難船団も一緒だと思われます。」


「「・・・」」


「まさか奴ら・・・」

 十色は、第17次避難船団の事を思い出していた。


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