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035 襲撃

 元の航宙路に戻った十色達は日常生活を楽しんでいた。

 

 そしてそんな生活を100年も続けただろうか・・・ 

 テラⅡでは第11護衛隊群の編成も終わり、地球とテラⅡをむすぶ安全航宙路の設置も9割がたできてきた頃、5捜群の513捜隊からの交戦報告が飛び込んで来た。

「司令、捜索隊が攻撃を受けました。」


「まさか、敵の再侵攻が始まったのか!?」


「いえ、違う様です。 艦型、使用兵器の特徴を考えると我々人類の技術体系の産物かと・・・ 」


「 ・・・場所と詳しい状況説明を 」


「はい。

 場所は本艦から左88度俯角16度、200年程の距離になります。

 では状況を説明します。

 今から約1時間前、第5捜索隊群 第513捜索隊は通常の捜索活動中に50隻からなる艦隊に攻撃を受けました。

 相手は小惑星の陰に潜んでいたようで、攻撃を受けるまで気づけなかったとのことです。

 その後、戦艦を盾に相手艦隊との距離を開き、30分程前に索敵範囲外への離脱に成功したとの事です。

 被害は、盾になった戦艦2隻が大破に限りなく近い中破、残りの戦闘艦5隻と支援船9隻は小破となります。

 現在、距離を離す為移動し続けながら支援船による修理をおこなっていますが、付近に資源採取の出来る星も無く、手持ちの資材では全艦の修理は不可能との事です。 ただし戦艦1隻を解体し、もう1隻とニコイチにすれば、戦力の低下は戦艦1隻分に抑えられるとの事で、こちらに解体の許可を求めています。」


「状況は了解した。 解体を許可する旨、すぐに送信してくれ。 で、相手の状況は?」


「はい。 現在映像を分析中ですが、防御を優先したせいもあり相手艦を1隻も沈める事が出来ませんでした。 しかし、敵のシールドはこちらの戦艦の一撃で消滅しており、技術力的にはこちらが上かと・・・ 相手が追撃してこないのも、倍以上の数で襲い掛かったにも拘わらず1隻も撃沈出来なかった事で、警戒を強めたためではないかと思われます。」


「さて、相手の正体は何だろうな・・・ シングルナンバーなのか、どこかの避難船団がテラⅡみたいに独自の宇宙軍を作ったのか・・・ 取り敢えず、全軍とテラⅡに警戒警報を送れ。 慎重に動くぞ。」


「はい、了解しました。 我々はどうしますか?」


「本隊は第513捜索隊に合流する。 進路を向けろ。」


「はい。 取舵回頭実施中、513捜隊に向かいます。」


 こうして十色達は、未知の存在と接触を図るべく・・・



ーー地球の主力艦(戦艦)の説明ーー

 戦時中の宇宙戦艦が搭載していた主砲は、各国で何種類も作られていたため統一規格は存在しないが、タイプ28、タイプ36、タイプ38、タイプ40、タイプ41重レーザー砲辺りが多く採用されていた。

 又、二連装砲や三連装砲が採用されており、1艦辺りの搭載数は9門~12門が一般的であったが、稀に四連装砲などを搭載した艦も有った。 が、それらは極少数である。

 そして、戦後100年ぐらいして第104囮艦隊の生き残りの技術者が造り上げたのが、現在使用中の標準型戦艦であり、その主砲はタイプ46重レーザー砲を三連装砲×五基、15門と戦時中の戦艦と比べ破格の攻撃力を誇る。 又、それだけの武装を搭載するには従来型の船体では小さいので、戦時中の艦と比べ倍の大きさになり、それにふさわしい重装甲を施された。

 

 今回の襲撃事件では今の戦艦が高性能のおかげで助かったと言える。 従来型の戦艦だったら捜索隊は全滅だっただろう・・・


 ちなみに、テラⅡとの共同開発した標準型重戦艦は標準型戦艦の3倍の大きさを誇り、主砲はタイプ51重レーザー砲を二連装砲×八基、16門となっており、まさにバケモノである。

 第104囮艦隊の本隊には先行量産型の重戦艦が5隻配備されており、プロトタイプの重戦艦を組み込んだ旗艦富士と共に艦隊の中核をになっている。

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