033 今度は、第20次避難船団と第21次避難船団が
今回、地球側の建造能力は安全航宙路の設置作業に優先的に使われているが、標準型重戦艦も細々と造られている。
これら重戦艦は、護衛隊群と護衛隊の各旗艦として配備された。 (元の旗艦からコアを移植しているので、AIの成長を待つ必要も無く即部隊の旗艦とされた。)
安全航宙路の設置作業が終われば、本格的な標準型重戦艦の量産と部隊配備が行われるが時期は未定である。
ーー地球の防衛戦力の説明ーー
戦後、十色は敵の再侵攻を警戒して防衛1000年計画を立てた。
これは、1000年かけて10個護衛隊群100万隻の戦闘艦を造るものだが、計画の途中で使用艦艇の規格が変更になり、既存艦を作り直す事になったり、新型艦による建造時間の増大等が原因となって、100万隻造るのに1300年かかった。
そして次の段階として、数ではなく質を向上させる事を考えていたが、今回タイミング良く標準型重戦艦が設計されたので各部隊の艦艇を順次入れ替える事にした。
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そんなこんなで、テラⅡに戻って早2年・・・
第104囮艦隊は再度避難船団の捜索に旅立った。 1000年前のデータとは言え、第17次避難船団と第18次避難船団からの情報はとても有用であり、付近に居た各捜索隊を有力な宙域へ先行させている事から早期発見が期待されていた。
そして25年が過ぎた頃、2つの船団が見つかった。
「司令、5捜群の557捜隊が船団を発見しました。 方角的には我が艦隊の右176度方向になります。 時間的には到着まで40年程かかると見られます。」
「そうか、後ろか・・・ どうやら見落としていたようだな・・・ 進路を557捜隊に向けてくれ。」
「はい。 面舵回頭開始、艦隊進路を557捜隊に向けます。 それと司令、我が艦隊の航跡と今回発見された船団は一番近づいた場所でも右正横に15年程離れています。 当時発見できなかったのは仕方のない事かと・・・ 」
「15年分進路がずれていたか、本当嫌になるぐらい宇宙は広いな・・・ それで、その船団は生きているのか?」
「いえ、残念ながら両艦隊ともエネルギー反応無しです。 送られて来たデータをモニターに映します。」
「これは、コロニーだな・・・ だが、動いていない。」
「はい。 コロニーにエネルギー反応はありません。 又、破孔も多く気密が保たれているとは思えません。 人が生活できる状態ではないとは思いますが、内部の調査はこれからなので確実とは言えません。
それと周囲に浮かんでいる艦船の残骸、及びコロニーと一体化している艦船の特徴から、第20次避難船団と第21次避難船団だと思われます。」
「成程、両船団は合流したのち星への移住を諦め、宇宙船を材料にしてコロニーを作って移り住んだのか・・・」
「はい。 おそらくそうかと・・・ 詳しい事は5捜群の557捜隊の調査報告待ちです。」
「今の所、現場とのタイムラグは?」
「はい、空間圧縮通信の圧縮率が少し改善されましたので約5分です。」
「そうか、5分か・・・ 少々タイムラグが大きいが遠隔指揮をおこなって調査しよう。 爆散している艦船といい、コロニーの無数の破孔が如何にも気になる。 どう見ても戦闘がおこなわれたようにしか見えない。」
「はい、了解しました。 現地部隊にプローブドローンを搭載したUAVを準備させます。」
「それと・・・ 現地部隊にはコロニーを中心に全偵察機で出来るだけ広範囲の捜索を実行するよう指示を出してくれ。」
こうして遠隔指揮による。 現地の第557捜索隊を使った本格的調査作業が始まった。
そして、やはり戦闘が行われたとの結論に・・・ そして残された弾痕から戦った相手はシングルナンバー艦隊ではなかったようだとの結論に至った。
「そうか・・・ 奴らの仕業ではなかったか・・・ それで?」
「同士討ちの可能性が極めて高いです。 今後、内部データの解析が進めば正確なところが分かるはずです。」
「そういう事なら解析結果を待つとするか・・・ 本当に何があったんだろうな・・・ 」




