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028 船団の増強

 第104囮艦隊の来訪がきっかけとなり、テラⅡが変容していく中で十色からもたらされた地球の現状と敵の沈黙、人々の心は休まる暇もなかった。

 それでも着実に前へと進んでいた。


 十色達はテラⅡの安定を考え、第18次避難船団の旗艦『バルミィ』を大改装した。 特に船体中央部を前後に切り離し、新型戦艦用のコアブロックを4個並べて繋ぎなおす事で異質な進化を遂げた。

 これで、『バルミィ』のコアは旧式(機械)コンピューター1基とバイオコンピューター4基となり、1つの船体に複数のコアを搭載する初めての艦となった。

 この複数のコアの内、3基のバイオコンピューターはテラⅡの生活環境を維持・調整する為の合議制行政システムとしての運用を目指しており、過去のデータやテラⅡの変化を教材に自己学習中である。

 そして、残りのバイオコンピューター1基は、艦と船団の制御装置として学習をしており、今は旧式コンピューターが実際の制御を行っているが、いずれはバイオコンピューターがメイン、旧式コンピューターがサブとして運用することになる。 当初はこの時点で旧式コンピューターを取り外すつもりであったが、『バルミィ』は合議制行政システムと言う特別なシステムを搭載していることから艦の生存性を上げる為、予備システムの意味合いも込めてサブとして残置する事になった。


 元々戦艦であったこの艦は、余分なスペースが無い(戦闘艦は兵器システムや推進機関等を無駄なく配置してできるだけコンパクトに造ってあり隙間が有れば1発でも多くの弾を積む。)、その為増設したユニット用のジェネレーター関連機器を設置したり、機器の設置により重くなった船体を無理なく動かす為に推進装置や姿勢制御用スラスターの増設をしたりと、最終的に元の4.5倍に大型化した。 これは、第104囮艦隊旗艦『富士』よりも大きく、現行の戦艦の中で1番大きな艦となった。


 また、第104囮艦隊はユニットシステムにより新たに250隻の艦船を建造し、第18次避難船団の艦船250隻と1隻ずつペアを組んませた。 こうすることで、新たに造った250隻のバイオコンピューターが効率よく自己学習出来る環境を整えた。 

 更には、それと並行して艦船乗組員の選抜と教育もおこなわれた。 今後はこれらの人材を中心にテラⅡ宇宙軍の創設も考えられている。


 今回の新造艦のAIが成長してから更なる艦船の増強を予定しているが、それらはしばらく先になりそうだ。



 そして十色はもう一つの計画をスタートさせた。

 これは、地球とテラⅡをむすぶ安全航宙路の設置を行うものだ。 現状、地球とテラⅡ間の移動には300~400年かかると言われているが、これは宇宙船の限界速度で航行してのものだ。 限界速度を無視して航宙路の半分を加速し続け、残り半分を減速し続ける様にすれば10~20年程度に短縮が可能だ。

 もちろんデブリなどとの衝突回避が間に合わない様な速度を出すのは危険だが、事前に航宙路を決めデブリ等を排除しておけば危険は無くなる。

 十色は一定間隔毎にセンサー衛星を設置し、掃宙艇によるパトロールを行う安全な航路を2本設置、それぞれ逆方向の一方通行による相互間の航行を出来る様にしようとしていた。


 ただし、この長い長い航宙路をカバーするだけの衛星の設置と掃宙艇やパトロール船の準備には100年単位の時間がかかるとの試算が出ており、航宙路の開通時期は未定となっている。


 それでもその第一歩は踏み出された。

 

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