024 敵の正体は不明
時間になるのを待って、十色の話が再開した。
「さて、後は敵についての話ですが、実は未だに正体は不明のままです。 そして勝てた理由も・・・
何故か奴らの増援が止まり、其のおかげで何とか競り勝てたのです。 互いに潰し合い、こちらの各艦隊も私の第104囮艦隊が最後の艦隊でした。
その頃には太陽系外縁部から更に1年程離れた場所にまで戦場が動いており(敵の残存艦隊を追いかけて来た)そこでゲートを発見しました。
これは直径1キロほどの円形の鏡の様なもので、後から分かったのですが、遠く離れた場所と場所を繋ぐワープ装置でした。
装置を破壊し、敵艦の反応が全て無くなったことで一応の勝利としていますが、ゲートの先が何処に繋がっていたのか、そこには敵がまだ居るのか、全くの不明です。」
「ゲートについて質問があるのですが、後にワープ装置だと判明したという事は構造解析が出来たからだと思います。 複製と運用はできないのでしょうか? そうすればここと地球を結ぶことも出来ますし、利点が多いと思いますが?」
「複製と運用は行わないと決めています。 作ったゲートから敵艦隊が出て来たら困りますから・・・ しかし、地球とテラⅡを結ぶという考えは素晴らしい、何かしら別の方法を考えましょう。」
「私からも1つ質問が、敵がまた攻めて来たらどうするのですか? 地球の位置は知られているのですよね?」
「はい。 今現在も太陽系の戦力は着々と増強されています。 敵が前回の100倍の規模で攻めて来ても問題なく撃退出来ます。」
「敵が絶対攻めてこないという保障も無く、敵の技術力が昔のままという保証もない。 例え地球へ行きたいと言う人がいても、行かせるべきでは無いかと・・・ 危険だと判断します。
それに、それが原因でテラⅡのポジションが露見してしまえば、この星にも敵が来るかも知れませんし・・・」
「私は逆に、行く必要が有ると考えます。 移民という話ではなく、敵が来る可能性があるなら観測所なり、前線基地を作るべきです。 敵の情報を少しでも多く集め、テラⅡから少しでも遠くで撃退すべきです。 そもそも地球との関係を絶ったからと言って、テラⅡに敵が来ないという保障にはなりません。」
「話をした私が言うのも何ですが、これは簡単に答えを出せる様な問題ではありません。 後日改めて話し合いの場を設けたいと思います。」
「あっはい、そうですね。 急いで結論を出す必要は無いですよね・・・」
「「・・・」」
「あのよ、俺も2つばかり質問があるんだがいいか?」
「確か、警察署長さんでしたね。 どうぞお尋ね下さい。」
「おう、俺の事はコードと呼んでくれ。 それじゃあ先ず1つ目、直径40cm程の黒い球についてだ。 生態系への影響を調べたってことは観測機器の一種だと思うが、あのままなのか? 回収したりするのか?」
「はい。 回収してもいいですが、コントロール装置とセットで警察にお譲りしてもいいですよ? カメラ内臓ですから、監視カメラとして使ってもいいし、犯罪者や迷子の捜索にも使えます。 大気や土壌に含まれる有害物質の検出なども出来るので有れば便利かと・・・ 」
「おお、確かに便利そうだな・・・ すまんが少し時間くれ、後で署の方で会議して決めるわ。」
「はい。 しっかり話し合って決めて下さい。 それで2つ目は何でしょう?」
「コールドスリープ装置についてだ、名前から察するに人間を凍らせて長期保存する装置だと思うんだけどよ間違いないか? で、氷漬けの間は外の事が解らない。 であってるか?」
「ええ、その通りです。」
「成程、だからロイド様が枢密院のやってる事に気が付けなかったんだな。」
「そうですね。 さて、知りたいことはまだまだ有るとは思いますが続きは後日としましょう。 ロイド団長には早めに片付けなければならない問題も残っていますしね。」
「ああ、枢密院の後始末だな、今から頭が痛いよ。 特に国を追い出されて別大陸で貧しい生活をしている人達の事を考えると・・・ すぐにでも何とかとてやりたいが、人の数が多過ぎて今の船団の力でどこまでやれるか…」
「それについては、私の艦隊がお手伝いしますよ。 ついでに老朽化している船団の艦船整備と強化、増強もやってしまいましょう。」
「十色司令の協力に感謝する。 明日はこの星の改革についての会議を行うので、オブザーバーとして出席をお願いできないだろうか?」
「はい。 参加させていただきます。」
「ありがとう。 では後で時間と場所を知らせるのでよろしくお願いする。」
こうして、怒涛の1日が終わった。




