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022 地球に帰りましょう

「だんまりですか?」


「ち、違うのです。 我々は人々の為を思い行動したのです。 そ、そうです人々の暮らしを良くするには必要な事だったのです。 私達は悪くない!」


「団長、こう申しておりますが?」


「反省の言葉も無く、自分に都合よい事ばかり言い、真実を隠す・・・ 情状酌量の余地なし、全ての財産を没収、開拓地送りとする。 機械に頼らず己が力だけで暮らせ。」


 船団長の裁定により枢密院の者達が連れて行かれる中、改めて十色の話を聞くため皆は管制塔ビルの会議室へと移動した。

 ちなみに、スリープ状態の戦闘艦やアシストロイド達はそのままとされた。 これらは後々内部のデータを調べ、枢密院の命令で何をしてきたのかを確認をする為である。


「皆、私が不在の間良く頑張ってくれた。 人々がこうして生き延びていてくれた事を嬉しく思う。 また、枢密院の様な者達を作ってしまった事を深く謝罪する。」

 深々と頭を下げ謝罪の意を示す団長に周りの者達が慌てる。


「おやめください。 偉大なる指導者様にそのような事は不要です。」

「そうです。 偉大なる指導者様の御作りになった枢密院は、人々の暮らしを良くする為の素晴らしきものでした。」

「今の枢密院は、世代を重ね堕落していった本人達に責があります。 決して偉大なる指導者様が謝罪する様な事ではありません。」


「皆の言葉に心洗われる気持ちだ。 ありがとう。 ・・・ただ、偉大なる指導者などと呼ばれるのは少々こそばゆい、普通に名前で呼んで貰いたいのだが・・・」


「「えっ?」」


「えっ、何その反応・・・ もしかして、私の名前が伝わってないのか?」


「「も、申し訳ありません。」」


「い、いや 良いのだ・・・ 1000年だもんな、私の名前なんか誰も覚えていなくて当然だ・・・」


「「・・・」」


 誰もが言葉を失う中、十色が、

「団長、気落ちする必要は無いと思いますよ。 敬う気持ちが大きかったのでしょう。 恐れ多くて誰も貴方の名前を口にしなかった。 だから名前が伝わらなかったんだと思いますよ? 決して軽んじられていた訳ではないはずです。」


「そ、そうか? いやそうだな。 改めて名乗ろうロイド・ワインバーグだ! 今後はロイドと呼んでくれ。」


「「ハハッ ロイド様」」 皆、十色に感謝の視線を向けながらもロイド団長に首を垂れる。


「さて、私の話はひと段落ついた。 今度は十色殿の話を聞かせて頂くとしよう。」


 ロイド団長が場所を開けると円柱が進み出で来る。

「改めまして、『国際連合宇宙軍 第104囮艦隊』司令の十色・寺内です。 同じ人類に連なる者と出会えて嬉しく思います。 先ず初めに一つ謝っておきます。」


「「ザワザワ」」 いきなりの謝罪にざわめく・・・


「この姿(2メートルの円柱)は、生態系への影響を考慮した隔離措置ではありません。 既にその手の調査は黒球により終了しており、安全性の確認は取れています。 実際、あなた方の団長も1000年ぶりの地上ですが既にヘルメットを脱いでいます。 団長は地球出身者ですが影響が無い良い例といえます。」


「それでは、何故と聞いてもよろしいですか?」 行政局長が話を繋げてくれる。


「もちろんです。 ショーン殿・・・ 事前の調査で枢密院が何か仕掛けてくる事は十分予想できていました。 ですから囮としてこの円柱を用意したのです。 これは立体映像ディスプレイなので、この中に私はいません。 艦から映像を送っているので、破壊されようが何されようが問題ありません。 ただ、直接皆さんの前に出ない非礼をお詫びします。」


「いえいえ、謝罪は不要です。 実際あのような事も起こりましたし・・・」


「ありがとうございます。 では改めて私がここに来た理由を説明します。」


「「ゴクリ」」 皆の視線が集まる中、


「私は皆さんを迎えに来たのです。 敵の脅威は排除されました。 地球に帰りましょう。」


「「!?」」


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