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021 「・・・」

「艦隊司令殿、我々は知っているのですよ。 避難船団に乗っていたのは生きながらえるのに相応しい優秀な人々で、囮艦隊に乗っていたのはその優秀な者達の為に犠牲になる事位しかできない能無し達だという事をね・・・ 優秀な我々の仲間に入れてやろうと言うのだ。 感謝してもらいたい位なのだがな、さっさと指揮権を移譲してもらおうか?」


「ほう・・・ 何処で聞いたか知らないがその様なデマを信じているとは、とても優秀だとは思えんな。 囮艦隊に居た者たちは皆、一人でも多くの人達を助ける事になるならばと自らの意思で命を投げ打ったのだ。 その結果がお前たちの様な勘違いバカでは、死んでいった部下達も浮かばれまい。」


「我々が勘違いバカだと? ふ、ふざけるな!」 

 議長が声を荒げながらも部下たちに合図を送る。 すると、空を覆う雲の中から20隻余りの戦闘艦が姿を現し一帯を包囲すると多数の戦闘機械群を発進させ始めた。 更には砲門を十色が居る辺りに指向させており、場のバランスは枢密院側に大きく傾いた。


「ふん、バカはそちらだったな。 たった1隻で乗り込んで来るとは考えが足りないのではないか? 偉大なる指導者から授かりし力、その身に受けてみるか?」


 枢密院の議長が勝ち誇る。 が、その時十色が乗っていた装甲車から古いタイプの宇宙服を着た人物が降り立った。

 そして、皆が見守る中でその人物が、

「確かに有事の際にと思い、20隻程の戦闘艦の指揮権を渡してあったが、それは私利私欲を満たすためではないぞ!」


「何だ? この小汚いのは・・・ 艦隊司令殿、トップ同士の会話に割り込んでくるとは、部下の教育がなってないのではないですかな。 それとも所詮は囮艦隊、この程度部下しか居ないのですかな?」


「だそうですよ? 団長殿?」 十色は議長ではなく宇宙服を着た人に話しかける。

「いやはや耳に痛い話ですな・・・ 」 


「何をごちゃごちゃ話している! 時間稼ぎのつもりか!」


「議長、貴方は代弁者を名乗りながら分からないのですか? この方は第18次避難船団の団長ですよ?」


「はぁ? こんな小汚いのが偉大なる指導者だと? ふざけるな! そもそも1000年も前の人物が生きている訳なかろう。」


「ふざけているのはお前だ。 あの優秀だった部下達の末裔がこんなクズになり果てるとは、時の歩みの何と残酷な事か・・・

 コンピューター、枢密院の権限の全てを無効とする。 現在、枢密院の名で行われている作業を停止し、スリープ状態へ移行せよ。」

 

 すると、戦闘艦を含めた空飛ぶ物は地上に着陸し、アシストロイド達地上に居たものはその場にうずくまって機能を停止した。

 皆が唖然とする中、形勢逆転とばかりに取り押さえられる枢密院の議長と配下達。 そんな中、船団長が近づいてきて跪かされている議長達に話しかける。


「さて議長、私の代弁者などとうそぶき、囮艦隊に対する略奪未遂行為・・・ お前が言う所の『偉大なる指導者』の名誉が汚された訳だが、どの程度の罰が自分に相応しいと思う?」


「お、お前が・・・ い、いえあなた様が本当に指導者である団長だと言うのですか?」


「もちろんだ。 そもそも何で死んだ事になっている? 部下達の子孫なら私が船団に居る事が伝わっているはずだが?」


「そ、それは・・・ 確かに伝承では偉大なる指導者は空の上から見守り続けているとなっていますが・・・ 」


「ふふふ、それでは勘違いしても仕方ないかも、ですね。」思わず口を挟んでしまう十色と苦笑いの団長。


「さて、では私がもう一度尋ねましょう。 我が艦隊に対する略奪未遂事件により、あなた方の『偉大なる指導者』の名誉が大きく損なわれましたが、その原因である枢密院はどう責任を取るのですか? もちろん、我が艦隊の名誉に対しての暴言も忘れてはいませんよ。」


「・・・」


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