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133 極秘会談

 十色はさっそく、各艦種用の超光速航行ユニットの設計、製造に・・・ 特に第104囮艦隊旗艦『富士』のユニットを優先して作業を行っていた。

 『富士』用のユニットなら、同系列艦の『三笠』にも接続可能となる事から、新地球王族の地球訪問に使えるとの理由である。


 そして、将来的には地球の主権を避難船団の子孫に渡す事になる可能性が大きくなってきている事から、旧月面基地等の重要拠点を火星へ移す作業も並行して始めた。 (火星地表に10万隻、火星軌道上に10万隻、併せて20万隻規模の基地を建設)

 これは、火星に住む火星人の保護と人類との仲立ちも兼ねており、更には、火星人の協力のもと火星の地下に巨大な秘密基地を建設するためでもある。 (最低でも500万隻の収容が出来る秘密基地を目指す。)


 因みに、新月面基地 (1万隻対応)とダーウィン宇宙軍港 (1万隻対応)それと民間の宇宙港、スペースポートダーウィンとスペースポート札幌はそのまま明け渡す予定でいる。


 現在、正面兵力の12個護衛隊群 (120万隻)を60個護衛隊群 (600万隻)に、支援兵力である捜索隊群も80万隻から400万隻に増強中であり、その他の開発隊群や各基地隊などの艦船も増加傾向に有る事を考えると、太陽系外にも拠点を必要と考えいるが、そちらについては未定である。


 そもそも、十色が戦力の増強に踏み切ったのは人類の生存圏の増加と、ファーストの艦隊が現れた時の事を考えてである。

 ファースト迎撃兵力を分散配置する為だったのだが・・・  空間圧縮による超光速航行により、短時間で艦隊を遠方へ派遣出来るようになれば、兵力の分散配置は必要無くなる事から、普段使わなくなる大量の艦船を格納する場所を必要とする事に・・・ (兵力の削減は行わない。 オタク気質の有る十色は船を大事に仕舞う事はあっても捨てる事はしないのだ。)



 さて、新地球においては『三笠』関連の話題が尽きずにいた。 比例して貴族連合の発言権が増すと共に、企業共同体は内部分裂の危機を迎え力を落としてきた事から、社会や新地球統合軍の指針も大きく変わりつつあった。

 そんな中、赤板グループの顔役として十色は貴族連合の催しに引っ張りだこであり、特に『三笠』を使っている皇室とは、劇的に関係が良くなっていた。

 そこで、表向きは画期的な新技術の紹介として親展で皇室にデータ送った。 (陛下のみ閲覧可とし、陛下が認めた者のみ情報の共有を許可される仕様。)


 結果、極秘会談が行われる事に・・・

「よく参られた。 十色殿から渡された資料には信じ難い事が多々あり・・・ 色々と確認したいと思うて直接話す機会を作る事にした。」


「はっ、陛下に置かれましては戯言の一言で片づけず、この様な機会をいただけた事感謝致します。」


「うむ。 旧地球についても気になる所だが、既に300年以上も前に『新地球統合軍』の艦隊と接触し情報を渡したと言うのは本当だろうか?」


「?はい・・・ もしかしてこちらまで情報が来ていないのでしょうか?」


「ああ、内々で探ってもみたが、貴族連合にはその様な情報の形跡は見つからなかったのだ・・・」


「それは・・・  企業共同体でしょうか? 自分達の都合がいいように・・・ 」


「まず、間違いあるまい。 未知の勢力と、辺境での小競り合いが有る事については知っていたが、一時停戦の合意が成されていた事を始めて知った。 まったく、何を考えておるのやら・・・」


「はぁ~ 随分とまわり道をしてしまった様です。 最初からこちらとコンタクトを取るべきでした。」


「私としては、今この時にこの様な話が出来る事を神に感謝したいぐらいだ。 300年も前では私は産まれても居なかったからな・・・ 」


「なるほど・・・ そう言った考えも有りますか・・・ それで、旧地球についてはどの様にお考えですか?」


「「・・・」」


「今、答えを出す事は難しい。 だが、先ずは1度地球を見に行きたいと考えている。 頂いた資料では超光速航行で10日で行けるとあるが?」


「はい。 既に『三笠』用の外付け超光速航行ユニットの用意もして御座います。 地球に行かれるのなら何時でもご案内いたします。」


「さようか・・・ 他の王家にも声を掛けたいのだが、よいだろうか?」


「その辺りは、陛下のご判断にお任せします。 丁度いいタイミングで『三笠』の修理も終わりましたので、表向き『三笠』の再就役記念 1ヶ月航宙旅行パーティーとでもしておけば、よろしいかと存じます。」


「さすがは3000年以上生きているだけはある。 実に老獪よの・・・ 」


「ご存じでしたか・・・ その辺りの資料はお渡ししなかったのですが・・・」


「こちらにも地球脱出時の資料は残されておる。 国際連合宇宙軍第104囮艦隊の名前さえ判れば司令官の名前を調べる位ぞうさもない・・・  しかも、堂々と本名を名乗ておるとは・・・ 記録映像を見て驚かされた。 いったいどの様な技術によるものなのか、想像もつかぬ・・・」


「確かにこの身体はバイオロイドを基にした義体です。 本当の身体は今もコールドスリープ装置の中にあります。」


「ふむ、コールドスリープとはその様な長期間運用できる物なのか? 私の知る物とは別物の様だ・・・」


「はい。 実際、陛下の知る物とは別物です。 長年の改良による賜物です。」


「なるほどの・・・ さて、元日本国航空宇宙自衛軍、寺内 十色 予備役中尉。 貴官は自衛軍を中途退職し、後に宇宙戦争勃発時に国際連合宇宙軍に徴兵され艦隊司令になった事についての資料は見つかったのだが・・・

 一つどうしてもわからない事が・・・ 是非とも教えて貰いたいのだが?」


「はい。 私の知る事でしたら・・・ 何なりとお尋ねください。」


「うむ。 今後の公式資料作成でも必要となりそうでの・・・ 十色よ、国連軍での階級は何だ? 艦隊司令をしていて中尉と言う事はあるまい。 此方の資料ではみつからなかったのだが・・・」


「「・・・」」


「それは・・・ 」


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