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013 全滅したと判断

 これまでに、8箇所の海底都市が発見されたが、 残念なことに全てが廃墟であった。

 半ば泥に埋もれ、現地の生態系に浸食されているそれらの都市では遅々として調査が進まず、腐食によるデータの損傷も激しい事から、現状でのこれ以上の情報は集まらないと思われた。


「こうなってくると・・・ 第22次避難船団は全滅したと判断するしかないか・・・」


「はい。 滅んだ原因は不明ですが、攻撃等の外部から力が加わった形跡は見られません。 経年劣化による自壊と思われますが、確証は得られていません。」


「見つけるのが遅すぎたか? あと200年早く見つけていられればな・・・」


「それは仕方が無いかと・・・ しかし、今回の件を考慮すると他の避難船団も今となっては・・・ 」


「そうだな、早く探さないとな。」


「いえ、それは・・・ いや、そうですね。 この場は他の部隊に任せて我々は宇宙に戻りましょう。」


「あぁ、戻ろう・・・

さて、第X0捜索隊群を解散とする。 所属していた第X1~第X4捜索隊を一つの部隊に纏め、新たに『第22次避難船団調査保存部隊』とする。 現在実施中の調査については全てこの部隊に引き継ぎ、第104囮艦隊は元の航宙路に復帰、他の避難船団の捜索を再開する。」


「はい、了解しました。 引継ぎが終了しだい、元の航宙路に復帰します。」


 艦隊の船が空を昇る中、ふじが十色に

「司令、衛星に埋もれている避難船団の艦船は、月面基地に回航で宜しいでしょうか?」


「いや、今回は遺骨などを見つけることが出来なかった。 その為、地球に連れ帰る事も出来ない・・・ 船団の船は墓標の代わりにそのままにしておく。」(亡くなった方たちの御遺体は、現地の生態系によって分解吸収されたと見られている。)


「はい、了解しました。」


 更に高度を上げていった艦隊は、21回の弔砲を轟かせ宇宙へ・・・ (弔砲の発射回数に明確なルールはありません。)


 衛星軌道上で第104囮艦隊は分離していた支援船達と合流し、元の宙域に戻る為に加速を開始した。 そして十色は富士に指揮を任せ、部屋へと下がっていった。


「御主人様、お疲れさまでした。」ふじはそう言いつつ、うなだれる様にして座る十色の頭を包む様に抱きしめた。


 少しして十色は、

「私の心は弱くなってしまったのかもしれん。 1人でいた頃の私なら此処までのダメージを受けたりは・・・ 」


「悲しいお気持ちは分かりますが、まだ沢山の所在不明船団がいます。 それに、月には御主人様が避難船団を連れ帰る事を待っている人達が居ます。 お気持ちを切り替えて行かなければ・・・」


「あぁ、そうだな・・・ しかしフフフッ、お前との日々が私の心を弱くし、弱った私をお前が支えるか・・・ 依存するように仕向ける悪女みたいだな。」


「な、なんていう事を言うのですか。 以前の御主人様は心が強かったのではなく、機能不全に陥って何も感じていなかっただけです。 私はそれを癒しただけです。 愛の力で!」


「言われてみれば、昔は何も変わらない毎日を永遠のように過ごしていたからな・・・ 何も感じなくなって行ったのかもしれない。」


「はい。 でもそれは仕方のない事だと思います。 決められた定型文しか話さない従来型のコンピューターが唯一の話し相手でしたから。 でも今は私が、私達が居ます。 御主人様の心をしっかりと守ります。 愛の力で!」


「随分と愛の力を押してくるな。 まぁそんなのはどうでもいいが、私達と言うのは『仕事用』と『プライベート用』のふじの事か?」


「どうでもいいとは何ですか、愛が一番大事じゃないですか。

 ちなみに私達とは、艦隊1万隻のバイオコンピューターです。 良かったですね御主人様、1万人の彼女ですよ、ハーレムですよ。」


「ちょっと待て、1万人の彼女って・・・ 艦隊全艦船が女性人格なのか?」


「?当たり前じゃないですか。 集めた資料、特に乗員の私物メディアの資料では、艦船は全て女の子でしたよ? だからバイオロイドも女性型しか作ってないです。」


「・・・」


 もはや言葉はいらなかった。(言うだけ無駄とも・・・)


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